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国土交通白書 2020

令和2年版 国土交通白書 はじめに

令和2年版 国土交通白書 はじめに

 2019年12月に中国武漢市で発生した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、全世界に感染が拡大し、2020年5月末時点で、全世界の感染者数は約593万人、我が国の感染者数は約1万7,000人に至っている。また、経済にも大きな影響を及ぼしている。2020年5月末現在、緊急事態宣言が全都道府県で解除されて間もない段階であるが、それまでの経緯と政府の取組み、各分野への影響とこれへの対応及び今後必要と考えられる対応を「特集」として、本白書の冒頭で、まず報告する。

 また、2020年は、国土交通省が誕生してから20年目の年にあたる。国土交通省は、2001年1月、北海道開発庁、国土庁、運輸省、建設省の旧4省庁を統合して発足した。その際、国土交通行政の使命を、「人々の生き生きとした暮らしと、これを支える活力ある経済社会、日々の安全、美しく良好な環境、多様性ある地域を実現するためのハード・ソフトの基盤を形成すること」と定め、国土交通行政を進めてきたところである。

 発足からこれまでの間、我が国を取り巻く環境は、人口減少、高齢化、自然災害の頻発・激甚化、情報技術の発展等、大きく変化してきた。一方、将来に目を向けると、人口減少・高齢化の更なる進行、地球温暖化による災害リスク増加、巨大地震発生の可能性、技術革新の更なる進展などが予想される。

 国土交通行政においては、今後もこのような様々な環境変化や困難な課題に対応していかなければならないが、国土交通省発足から20年目という節目の機会をとらえ、これまでの環境変化とそれへの対応を振り返り、将来の予測も踏まえて、今後の課題や方向性を整理することとしたい。

 具体的には、本白書の第I部では、「社会と暮らしのデザイン改革~国土交通省20年目の挑戦」というテーマの下、第1章において、発足からこれまでの我が国を取り巻く経済、社会、国際関係等の環境変化と、それに対する国土交通行政の主な取組みを振り返るとともに、第2章において、将来の環境変化の予測を取り上げながら、第3章において、それらを踏まえ、今後、国土交通行政が向き合うべき課題と方向性を、「防災・減災」、「老朽化するインフラの維持管理」、「地域の移動手段確保」、「海外活力取り込み」、「新技術活用」という5項目について展望する。
 また、第II部では、国土交通行政の各分野の動向を政策課題ごとに報告する。