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国土交通白書 2021

第1節 社会の存続基盤の維持困難化

■2 観光業への深刻な影響

( 1 )観光業の重要性とコロナ禍の影響

 観光業は、旅行業、交通産業、宿泊業、飲食産業、アミューズメント産業、土産品産業、旅行関連産業等幅広い分野を包含した産業であり、我が国経済に与えている影響は非常に大きい。また、地域レベルで見ても、観光業は、地域外との対流・交流を生むとともに、地域外から利益を得て地域経済を支える産業として重要である。このため、観光業についても、我が国及び地域にとっての存続基盤であると言える。

 しかし、観光業の経営は非常に厳しい状況にある。第1章第1節の通り、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、「新しい生活様式」への転換や国際的な往来の制限を実施していることにより、観光客数の減少など大きな影響を受けている。特に、コロナ禍以前においては毎年増加していた外国人旅行者は、ほぼ皆無となっている。「新型コロナウイルス感染症による関係業界への影響について」の調査結果によれば、宿泊業については、予約状況が2019年同月比で7割以上減少したと回答した事業者の割合は、緊急事態宣言が発出された5月は89%とほとんどの事業者に極めて大きな打撃を与えた。Go Toトラベル事業の効果等で11月は6%、12月は8%までその割合は減ったが、2021年1月には48%まで増加し、非常に大きな影響を受けていることがわかる(図表Ⅰ-2-1-7)。また、同調査によれば、旅行業の予約状況は緊急事態宣言が発出された5月は前年同月比で99%減少、Go Toトラベル事業の効果等で11月は前年同月比+18%まで回復したものの、2021年1月には89%減少と、非常に大きな影響を受けていることがわかる(図表Ⅰ-2-1-8)。

図表Ⅰ-2-1-7 宿泊の2020年予約状況が2019年同月で7割以上減と回答した事業者の割合
図表Ⅰ-2-1-7 宿泊の2020年予約状況が2019年同月で7割以上減と回答した事業者の割合

資料)国土交通省

図表Ⅰ-2-1-8 旅行(大手・国内旅行)の2020年予約状況(2019年同月)
図表Ⅰ-2-1-8 旅行(大手・国内旅行)の2020年予約状況(2019年同月)

資料)国土交通省

 このような状況は、コロナ禍における突発的な影響によるものであるが、前述の通り非常に大きな打撃を受けており、このままでは多くの事業者において事業の維持が困難になるおそれがある。我が国及び地域にとっての存続基盤である観光業を維持するため、コロナ禍による影響を乗り越えるための対策が必要である。