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国土交通白書 2021

第1節 ICTの利活用による国土交通分野のイノベーションの推進

■8 ビッグデータの活用

( 1 )IT・ビッグデータを活用した地域道路経済戦略の推進

 地域経済・社会における課題を柔軟かつ強力に解決し、成長を支えていくため、ICTやビッグデータを最大限に利活用した地域道路経済戦略を推進している。

 ETC2.0が平成27年8月に本格導入され、道路交通の速度等のビッグデータを収集する体制が構築されており、ETC2.0車載器は、約625万台(令和3年3月時点)まで普及。こういった中、地域の交通課題の解消に向けて、27年12月より、全国10箇地域に学官連携で地域道路経済戦略研究会が設立され、各地域での課題を踏まえたETC2.0を含む多様なビッグデータを活用した道路政策や社会実験の実施について検討を進めている。

 例えば、急増する訪日外国人観光客のレンタカー利用による事故を防止するため、外国人レンタカー利用の多い空港周辺から出発するレンタカーを対象に、ETC2.0の急ブレーキデータ等を活用して、外国人特有の事故危険箇所を特定し、多言語注意喚起看板の設置や多言語対応のパンフレットでの注意喚起等のピンポイント事故対策に取り組んでいる。

 また、ETC2.0データを官民連携で活用することで、民間での新たなサービスの創出を促し、地域のモビリティサービスの強化を推進している。

( 2 )交通関連ビッグデータを活用した新たなまちづくり

 交通関連ビッグデータ等から得られる個人単位の行動データをはじめとした各種データを活用し、多様なシミュレーションや施策の見える化等を行い、各主体間で地域の情報を共有しながら地域のまちづくりを考える「スマート・プランニング」の取組を推進している。

 令和2年度は、これまでにも取り組んできた滞在時間や歩行者交通量のシミュレーションの高度化に加え、評価できる施策や評価指標の充実のほか、地方自治体の都市計画実務者を対象とした「スマート・プランニング」に関するセミナーを開催する等、普及にも取組んでいる。

( 3 )ビッグデータを活用した地形図の修正

 地形図は、国土の基本図として様々な地図のベースとして利用されるとともに、登山者やハイカーにも利用されている。この地形図の登山道をより正確に表示するため、登山者がスマートフォンで取得した経路情報(ビッグデータ)を活用して地形図を修正する取組みを進めている。令和2年度は、民間事業者との協力協定により提供されたビッグデータを活用して、全国の主な山の登山道を修正した。