国土交通省ロゴ

国土交通白書 2021

第2節 技術研究開発の推進

第2節 技術研究開発の推進
■1 技術政策における技術研究開発の位置づけと総合的な推進

 国土交通省では「科学技術基本計画」(平成28年1月22日閣議決定)等の政府全体の方針を踏まえつつ、「第4期国土交通省技術基本計画」(平成29年3月策定)のもと効果的・効率的な産学官連携を図りながら技術研究開発を推進するとともに、公共事業及び建設・交通産業等への開発成果の社会実装に努めている。また、社会資本整備審議会・交通政策審議会技術部会の下に設置した「国土交通技術行政の基本政策懇談会」において、新型コロナウイルス感染症がもたらす変化への対応や、自然災害の激甚化を踏まえた防災・減災対策など、今後の技術政策の方向性について令和2年8月から12月にかけて議論した。

( 1 )施設等機関、特別の機関、外局、国立研究開発法人等における取組み

 施設等機関、特別の機関、外局や国土交通省所管の国立研究開発法人等における主な取組みは図表のとおりである。国立研究開発法人においては、我が国における科学技術の水準の向上を通じた国民経済の健全な発展その他の公益に資するため研究開発の最大限の成果を確保することを目的とし、社会・行政ニーズに対応した研究を重点的・効率的に行っている。また、国土強靭化を中心としたインフラに係る革新的技術を公共事業等で活用するために、政府出資を活用して産・学の研究開発を支援する研究委託制度を創設し、令和元年度より、各国立研究開発法人において設定した研究開発課題に関する公募・採択を行い、研究開発を支援している。

図表Ⅱ-10-2-1 施設等機関、特別の機関、外局における令和2年度の主な取組み
図表Ⅱ-10-2-1 施設等機関、特別の機関、外局における令和2年度の主な取組
図表Ⅱ-10-2-2 国土交通省所管の国立研究開発法人等における令和2年度の主な取組み
図表Ⅱ-10-2-2 国土交通省所管の国立研究開発法人等における令和2年度の主な取組み

( 2 )地方整備局における取組み

 技術事務所及び港湾空港技術調査事務所においては、管内の関係事務所等と連携し、建設工事用材料及び水質等の試験・調査、施設の効果的・効率的な整備のための水理実験・設計、環境モニタリングシステムの開発、施設の維持管理に関する調査等、地域の課題に対応した技術開発や新技術の活用・普及等を実施している。

( 3 )建設・交通運輸分野における技術研究開発の推進

 建設技術に関する重要な研究課題のうち、特に緊急性が高く、対象分野の広い課題を取り上げ、行政部局が計画推進の主体となり、産学官の連携により、総合的・組織的に研究を実施する「総合技術開発プロジェクト」において、令和2年度は、「建築物と地盤に係る構造規定の合理化による都市の再生と強靱化に資する技術開発」等、計6課題について、研究開発に取り組んでいる。

 また、交通運輸分野においても、安全環境、人材確保難等の交通運輸分野が抱える政策課題解決に資する技術研究開発を、産学官の連携により推進しており、2年度は、「高精度測位技術を活用した自動離着桟システムに関する技術開発」に取り組んでいる。

( 4 )民間企業の技術研究開発の支援

 民間企業等の研究開発投資を促進するため、試験研究費に対する税額控除制度を設けている。

( 5 )公募型研究開発の推進

 建設分野の技術革新を推進していくため、国土交通省の所掌する建設技術の高度化及び国際競争力の強化、国土交通省が実施する研究開発の一層の推進等に資する技術研究開発に関する提案を公募する「建設技術研究開発助成制度」では、政策課題解決型技術開発公募(2~3年後の実用化を目標)の公募を行い、令和2年度は新規7課題、継続10課題を採択した。

 また、交通運輸分野については、安全安心で快適な交通社会の実現や環境負荷軽減等に資するイノベーティブな技術を発掘から社会実装まで支援する「交通運輸技術開発推進制度」において、新規4課題、継続4課題を実施した。さらに、同制度の研究課題の紹介と成果の普及・促進を図るとともに、時事の技術テーマを選んで広く議論する「交通運輸技術フォーラム」を、今年度は新型コロナウイルス感染症対応をテーマに3年3月9日に開催した。