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国土交通白書 2021

第4節 建設機械・機械設備に関する技術開発等

第4節 建設機械・機械設備に関する技術開発等

( 1 )建設機械の開発及び整備

 国が管理する河川や道路の適切な維持管理、災害復旧の迅速な対応を図るため、維持管理用機械及び災害対策用機械の全国的な整備及び老朽化機械の更新を実施している。

 また、治水事業及び道路整備事業の施工効率化、省力化、安全性向上等を図るため、建設機械と施工に関する調査、技術開発に取り組んでいる。

( 2 )機械設備の維持管理の合理化と信頼性向上

 災害から国民の生命・財産を守る水門設備・揚排水ポンプ設備、道路排水設備等は、その多くが高度経済成長以降に整備されており、今後、建設から40年以上経過する施設の割合は加速度的に増加する見込みである。これらの機械設備は、確実に機能を発揮することが求められているため、設備の信頼性を確保しつつ効率的・効果的な維持管理の実現に向け、状態監視型の保全手法の適用を積極的に推進している。

 また、ポンプは従来一品毎に設計、製作、据付を行っていたが、これを小型化・規格化し、かつ、各機器のマスプロダクツ化を徹底して図ることにより大幅なコストダウン、コンパクト化を行うと共に、メンテナンス性の向上等を図る必要がある。

 機械設備にかかる大更新時代の到来が必然である中、更新を契機ととらえ、これら機械設備に係わる諸課題について検討することを目的にしたマスプロダクツ型排水ポンプ開発にも着手する。

( 3 )建設施工における技術開発成果の活用

 大規模水害、土砂災害、法面崩落等の二次災害の危険性が高い災害現場において、安全で迅速な復旧工事を行うため、遠隔操作が可能で、かつ、分解して空輸できる油圧ショベルを開発し、平成26年度までに11台配備した。30年度には、土砂崩落により民家4軒が被災した大分県中津市耶馬溪町や北海道胆振東部地震で河道閉塞した北海道厚真町厚真川に派遣するなど、災害復旧活動に活用している。

( 4 )AI・ロボット等革新的技術のインフラ分野への導入

 我が国の社会インフラをめぐっては、老朽化の進行、地震及び風水害の災害リスクの高まり等の課題に直面している。そこで、ロボット開発・導入が必要な「5つの重点分野」(維持管理:橋梁・トンネル・水中、災害対応:調査・応急復旧)において、実用性の高いロボットの開発・導入を図ることで、社会インフラの維持管理及び災害対応の効果・効率の向上に取り組んできた。平成26~29年度、「5つの重点分野」に対応できるロボットを、直轄現場等において検証・評価を実施した。維持管理分野の内、現場検証によって一定の性能が確認された技術については、実際の点検に導入されている。今後は、「人の作業」の支援に加え、「人の判断」の支援が生産性向上のカギであり、建設生産プロセス、維持管理、災害対応分野での人工知能(AI)の社会実装を推進する。このために、土木技術者の正しい判断を蓄積した「教師データ」を整備・提供し、民間のAI開発を推進する「AI開発支援プラットフォーム」の開設を目指している。

図表Ⅱ-10-4-1 AI開発支援プラットフォーム
図表Ⅱ-10-4-1 AI開発支援プラットフォーム