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国土交通白書 2022

第3節 脱炭素型ライフスタイルへの転換に向けた取組み

■1 家計消費に伴う温室効果ガス

(家計消費のカーボンフットプリント)

 家計消費に伴う温室効果ガス排出の全体像を把握するためには、家計消費のカーボンフットプリントを考慮する必要がある。ここで、家計消費のカーボンフットプリントとは、一般家庭の最終消費によるもの注56であり、消費者による製品やサービスの購入・使用に伴う一連の温室効果ガス排出を捕捉すべく、原材料調達から加工、利用、廃棄に至る過程での排出量を考慮している。このため、家計による燃料使用など直接排出のみならず、購入した製品・サービスに伴う間接排出が含まれることとなり、家計需要により排出される温室効果ガスの全体像を認識する観点で効果的である。国立環境研究所注57の推計によると、家計消費のカーボンフットプリントは我が国全体の約6割であり、このうち住居及び移動に関するもので約3割を占めていると推計されている。

図表Ⅰ-2-3-1 我が国のカーボンフットプリント内訳(2015年)
図表Ⅰ-2-3-1 我が国のカーボンフットプリント内訳(2015年)

資料)国立研究開発法人国立環境研究所「国内52都市における脱炭素型ライフスタイルの選択肢」

図表Ⅰ-2-3-2 カーボンフットプリント
図表Ⅰ-2-3-2 カーボンフットプリント

資料)国土交通省

(住まいと移動のカーボンフットプリント削減に向けたアプローチ)

 家計消費のカーボンフットプリント削減に向けて、住まい方や移動手段に加えて、暮らしを支える製品やサービス消費を含め、これまでの日常生活のあり方を二酸化炭素排出削減の観点から見直すことによる脱炭素型ライフスタイルへの転換が重要である。特に、住まいと移動の側面から、「無駄を避ける(アボイド)」、「方法を変える(シフト)」、「環境配慮技術を活用する(インプルーブ)」の3つの視点を取り込むことが効果的である。

 例えば、使わない部屋の暖房を消すといった、住まいでの無駄なエネルギー消費の回避などの節電行動や、混雑を避けた移動による渋滞の回避など、消費総量の抑制により、「無駄を避ける(アボイド)」が可能となる。また、通勤方法を車から自転車通勤へ変えることなどにより、「方法を変える(シフト)」が可能となる。さらに、次世代自動車や省エネルギー住宅などへの転換により、「環境配慮技術を活用する(インプルーブ)」が可能となる。

 このような3つの視点からのアプローチにより、脱炭素型ライフスタイルを取り入れていくことで、わたしたちの暮らしに起因する二酸化炭素排出量を削減していくことが重要である。

図表Ⅰ-2-3-3 住まいと移動のカーボンフットプリント削減に向けたアプローチ
図表Ⅰ-2-3-3 住まいと移動のカーボンフットプリント削減に向けたアプローチ

資料)国土交通省

  1. 注56 家計消費のカーボンフットプリントからは、政府による支出や公共投資、設備投資などの固定資本形成に伴う温室効果ガス排出量は除外される。また、国の温室効果ガス削減目標に用いられる生産ベースの排出量とは異なる計算方法に基づくため、家計消費のカーボンフットプリントと数値が一致しない点に留意する必要がある。
  2. 注57 【関連リンク】
    脱炭素型ライフスタイルの選択肢
    出典:国立研究開発法人国立環境研究所
    URL:https://lifestyle.nies.go.jp/