
国土交通白書 2022
第3節 脱炭素型ライフスタイルへの転換に向けた取組み
コラム 在宅勤務による住宅でのエネルギー消費への影響
第1章第1節に記述したとおり、2020年度の二酸化炭素総排出量は、新型コロナウイルス感染拡大の影響等により減少したものの、家庭部門では在宅時間の増加の影響等から4.5%増加となった。
コロナ禍により世界的に社会のトレンドが変化した中、我が国においても在宅勤務が拡大した。東京商工リサーチ「新型コロナウイルスに関するアンケート調査」によれば、2020年の緊急事態宣言が発出された時期、大企業では約8割、企業全体でも約6割の企業が在宅勤務を実施したとされている。
在宅勤務の実施や外出自粛など社会変化に伴い、住宅のエネルギー消費にも影響を及ぼしていることが考えられる。実際に、総務省「家計調査」によると、2020年度の全国の消費支出の変化について、「光熱・水道」が対前年度比で増加に寄与した。このような中、建築研究所では、2020年、在宅勤務による住宅でのエネルギー消費の変化に関する実態調査を実施した。この結果、夏場の冷房使用時間の増加等により、約3割の世帯で月電力消費が増加しており、その増加に気づいていない人が約半数いた。また、住宅における電力消費の増加傾向とともに、増加の自覚がない世帯があることが確認されたため、同研究所においては、住宅の省エネルギー性能の向上に加え、エネルギー消費量を自覚した節電行動や、住宅の使用部屋数の抑制など住まい方を含め、エネルギー消費の面から望ましい在宅勤務の住まい方を検討することとしている。
調査対象世帯の消費電力の変化
(2020年5月・8月、対前年比)
(2020年5月・8月、対前年比)

資料)国立研究開発法人建築研究所 環境研究グループ
(注)調査対象:2020年4月の緊急事態宣言の対象となった7都府県(東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県、大阪府、兵庫県、福岡県)の1,000世帯