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国土交通白書 2022

第4節 交通政策の推進

■4 総合的な物流政策の推進

 物流は、我が国における豊かな国民生活や産業競争力、地方創生を支える重要な社会インフラであり、新型コロナウイルス感染症の流行下においても、国民生活や経済活動を支えるエッセンシャルサービスとして、その機能を維持してきた。

 一方で、近年、生産年齢人口の減少、AI・IoT等の技術革新の進展、災害の激甚化・頻発化、地球環境の持続可能性の確保やSDGsに対する社会的気運の高まり等、物流を巡る社会経済情勢は大きく変化している。物流分野においてはかねてより、その厳しい労働条件環境から担い手の確保が課題となっていたが、トラックドライバーに対する時間外労働の上限規制の適用を令和6年度に控え、時間外労働の削減などの労働環境の改善や、機械化・デジタル化やそれらの前提となる物流標準化の推進などによる生産性向上が急務となっている。

 このような状況を踏まえ、国土交通省では、関係者が連携した物流の総合化及び効率化に関する幅広い取組みを支援することを旨として、平成28年に改正された「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律(平成17年法律第85号)」(物流総合効率化法)に基づき共同輸配送、モーダルシフト、トラック予約受付システム等を導入した倉庫への輸送網の集約等を内容とする総合効率化計画の認定を農林水産省及び経済産業省と連携して進めており、令和4年3月までに312件の計画を認定した。また、ドローン物流の社会実装の推進、「置き配」等の多様な受取方法の推進等による宅配便の再配達削減、我が国の高品質なコールドチェーン物流サービス等の国際標準等の普及の推進などの、物流事業の効率化及び高付加価値化に資する取組みを推進している。

 政府においては、こうした取組を政府全体の取組として改めて位置づけ、関係省庁の連携の下で推進していくため、平成9年以降7次にわたり「総合物流施策大綱」を閣議決定し、対象期間における物流施策の方向性を示してきた。直近では、令和7年度までを計画期間とする「総合物流施策大綱(令和3年度~令和7年度)」を令和3年6月に閣議決定した。今回の大綱においては、「①物流DXや物流標準化の推進によるサプライチェーン全体の徹底した最適化(簡素で滑らかな物流)」、「②労働力不足対策と物流構造改革の推進(担い手にやさしい物流)」、「③強靱で持続可能な物流ネットワークの構築(強くてしなやかな物流)」の3つの柱を掲げている。新たな大綱に基づき、民間事業者や関係省庁と連帯し、物流政策の推進に取り組んでいく。