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国土交通白書 2022

第5節 観光政策の推進

■1 「明日の日本を支える観光ビジョン」の着実な推進

 平成28年3月、内閣総理大臣を議長とする「明日の日本を支える観光ビジョン構想会議」は「明日の日本を支える観光ビジョン」を策定し、令和12年に訪日外国人旅行者数6,000万人、訪日外国人旅行消費額15兆円等を目指すこととした。これらの目標の確実な達成に向け、取組を進めてきた結果、令和元年の訪日外国人旅行者数は3,188万人、訪日外国人旅行消費額は4.8兆円となり、過去最高を更新し続けてきたが、令和2年から現在にかけては、インバウンド旅行者はほぼ蒸発し、国内旅行も大きく減少となるなど、新型コロナウイルス感染拡大は、全国の旅行業、宿泊業はもとより、地域の交通や飲食業、物品販売業など多くの産業に甚大な影響を与えている。

 このため、深刻な影響が続く観光関連産業の事業継続と雇用維持を図るため、事業復活支援金や、雇用調整助成金の特例措置、実質無利子・無担保融資による資金繰り支援など、関係省庁が連携し、支援を行ってきた。

 また、全国的な移動を前提とするGoToトラベルを停止している中、感染が落ち着いている地域において、令和2年4月より、いわゆる「県民割」を支援する「地域観光事業支援」を実施してきた。

 さらに、全国各地の観光地の底力を高めるため、約230地域での宿・観光地のリニューアルや、約1,000地域での観光コンテンツの充実に係る支援などに戦略的に取り組んだほか、令和3年11月に閣議決定された「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」においては、観光産業の生産性向上やデジタル化の推進支援などを盛り込んだ。

 現在、我が国の観光は厳しい状況にあるが、自然、食、文化、芸術、風俗習慣、歴史など日本各地の観光資源の魅力が失われたものではなく、ポストコロナ期においても、人口減少を迎える日本において、観光を通じた内外との交流人口の拡大を通じて地域を活性化することがこれまで以上に重要であることから、引き続き、観光立国の実現に向けて政府一丸となって取り組む。