
国土交通白書 2022
第2節 観光立国の実現に向けた取組み
(1)魅力ある公的施設・インフラの大胆な公開・開放
首都圏外郭放水路では民間が主催する見学会のコース数を増加させるなど、インフラを観光資源として活用・開放し地域振興を図るインフラツーリズムを推進している。
(2)古民家等の歴史的資源を活用した観光まちづくりの推進
古民家等の歴史的資源を宿泊施設等に活用し地域の活性化に繋げるため、関係省庁と連携し、ワンストップ窓口での地域からの相談対応や、専門家の派遣等の支援を行い、新たな展開地域の拡大、取組地域の高付加価値化、各種取組との連携強化等を推進している。さらに、城や社寺等を日本ならではの文化が体験出来る宿泊施設として活用する城泊や寺泊を各地域で支援し、観光地域の磨き上げを進めている。
また、不動産証券化を活用したモデル事業の実施や好事例の周知等を通じて、不動産証券化手法による古民家等の再生を促進している。
(3)新たな観光資源の開拓と新たな交流市場の開拓
インバウンドの回復に備え、地域固有の観光資源を活用した新たな体験型観光コンテンツとしてアドベンチャーツーリズム等を推進するため、取組体制の構築、ガイド人材の育成・確保、満足度向上につながる観光コンテンツの発掘・磨き上げ等を実施した。
また、コロナ禍によるテレワークの浸透も踏まえ、ワーケーション等の仕事と休暇を組み合わせた滞在型旅行を「新たな旅のスタイル」と位置付けて、その活用を促進すべく、40の企業と地域をマッチングし、双方の体制整備を行うモデル事業を実施するとともに、気運醸成を図るため、令和4年3月に企業向けオンラインセミナーを実施した。
加えて、国内交流の喚起のため、新型コロナウイルス感染症の影響による働き方、暮らし方の変化や、都会の若者による自然に触れる旅のニーズが増えていることを踏まえ、第2のふるさとづくり(何度も地域に通う旅、帰る旅)等の新たな仕掛けづくりにより、新たな交流市場の開拓や、地域の活性化を図る。
(4)広域周遊観光の促進
訪日外国人旅行者等の各地域への周遊を促すため、調査・戦略策定、滞在コンテンツの充実、受入環境整備、旅行商品流通環境整備、情報発信等といった、地域の関係者が広域的に連携して観光客の来訪・滞在促進を図る取組みを支援している。また、地域の魅力・課題の発見や施策提案、関係者のスキル向上等に助言するため、地域へ専門家を派遣している。
また、訪日外国人の移動の実態(利用交通機関や周遊ルート等)が把握できるFF-Dataについて、新型コロナウイルス感染症の影響により、令和2年度データの作成に必要な調査が実施できていないが、今後のデータ作成に向けて利用者ニーズの把握を行った。
さらに、国内外のサイクリストの誘客を図るため、日本を代表し、世界に誇りうるサイクリングロードを国が指定するナショナルサイクルルートについて、令和元年11月につくば霞ヶ浦りんりんロード、ビワイチ、しまなみ海道サイクリングロードを第1次ナショナルサイクルルートとして、令和3年5月に、トカプチ400、太平洋岸自転車道、富山湾岸サイクリングコースを第2次ナショナルサイクルルートとして指定した。
(5)東北の観光復興
東北の観光復興を促進するため、東北6県による滞在コンテンツの充実・強化や受入環境整備などのインバウンドを呼び込むための取組みを、東北観光復興対策交付金により支援した。また、日本政府観光局では、東北特設サイトの制作・公開、在日メディア・インフルエンサーの招請等を通じて、東北地域の観光魅力を発信するプロモーションを実施した。
福島県については、観光復興を最大限に促進するため、同県が実施する震災復興に資する滞在コンテンツの充実・強化や国内外へのプロモーション等に対して補助を行っている。