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国土交通白書 2022

第2節 快適な生活環境の実現

■2 歩行者・自転車優先の道づくりの推進

①人優先の安全・安心な歩行空間の形成

 安全・安心な社会の実現を図るためには、歩行者の安全を確保し、人優先の安全・安心な歩行空間を形成することが重要である。特に通学路について、平成24年度に実施した緊急合同点検の結果等を踏まえ、学校、教育委員会、道路管理者、警察などの関係機関が連携して、歩道整備、路肩のカラー舗装、防護柵の設置等の交通安全対策を実施するとともに、「通学路交通安全プログラム」等に基づく定期的な合同点検の実施や対策の改善・充実等の取組みにより、子どもの安全・安心を確保する取組みを推進している。

 また、令和3年6月に発生した下校中の小学生の交通事故を受け、「交通安全対策に関する関係閣僚会議」において、「通学路等における交通安全の確保及び飲酒運転の根絶に係る緊急対策」が決定され、通学路における合同点検を実施するとともに、この結果を踏まえ、学校、警察、道路管理者等の関係者が連携し、ハード・ソフトの両面から必要な対策を推進している。なお、通学路合同点検の結果、抽出された対策必要箇所における交通安全対策に対し、計画的かつ集中的に支援する個別補助制度を創設した。

 その他、交通が著しくふくそうする道路又は幅員が著しく狭い道路について、電柱が車両の能率的な運行や歩行者の安全かつ円滑な通行の支障となっているときは、道路上における電柱の占用を禁止する取組みを実施している。

②子供の移動経路、生活道路のエリア等における交通安全対策の推進

 「未就学児等及び高齢運転者の交通安全緊急対策」(令和元年6月18日関係閣僚会議決定)を踏まえた交通安全対策を推進している。特に、「未就学児が日常的に集団で移動する経路の緊急安全点検」の結果を踏まえ道路管理者による対策を実施する箇所(約28,000箇所)について、早期の対策完了を目指している。

③安全で快適な自転車利用環境の創出

 過去10年間で自転車が関係する事故件数は、概ね半減しているが、自転車対歩行者の事故件数はほぼ横ばいにとどまっている状況であり、より一層安全で快適な自転車の利用環境整備が求められている。このため、警察庁と共同で「安全で快適な自転車利用環境創出ガイドライン」の周知を図っている。また、自転車活用推進法(平成28年法律第113号)により定められる自転車活用推進計画に基づき、自転車ネットワークに関する計画が位置付けられた地方版自転車活用推進計画の作成や車道通行を基本とする自転車通行空間の整備を一層推進するとともに、自転車の交通ルール遵守の効果的な啓発や、自転車を活用した地域の観光振興に資する情報発信等、自転車の活用の推進に関する取組みを進めている。

④多様なニーズに応える道路空間の実現

 「道路法等の一部を改正する法律」を令和2年度に公布、施行し、人々が集い、多様な活動を繰り広げる、賑わいのある道路を構築するための指定制度としてほこみち(歩行者利便増進道路)制度を創設した。また、社会の変化に伴い「賑わい」「安全」「新たなモビリティへの対応」など多様化する道路へのニーズに対応するため、地域内の各道路での機能の分担や場所や時間に応じた道路の柔軟な使い分けなどの検討を推進している。

⑤わかりやすい道案内の推進

 地図を用いた案内標識(地図標識)を交通結節点や観光地への設置など、訪日外国人等の公共交通機関の乗り換えやまちあるき等の支援を進めている。

⑥柔軟な道路管理制度の構築

 自動車交通の一層の円滑化と安全に加え、安全な歩行空間としての機能や地域のにぎわい・交流の場としての機能等の道路が有する多様な機能を発揮し、沿道住民等のニーズに即した柔軟な道路管理ができるよう、(ア)指定市以外の市町村による国道又は都道府県道の歩道の新設等の特例、(イ)市町村による歩行安全改築の要請制度、(ウ)NPO等が設置する並木、街灯等に係る道路占用の特例、(エ)道路と沿道施設を一体的に管理するための道路外利便施設の管理の特例、(オ)道路協力団体が設置する施設等に係る道路占用の特例、(カ)道を活用した地域活動における道路占用許可の弾力的な運用等を実施している。

動画

緑陰施設でつくる まちなかみどりのクールスポット(再掲)

URL:https://youtu.be/pheqEhOAiuc