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国土交通白書 2022

第3節 利便性の高い交通の実現

(1)都市・地域における総合交通戦略の推進

 安全で円滑な交通が確保された集約型のまちづくりを実現するためには、自転車、鉄道、バス等の輸送モード別、事業者別ではなく、利用者の立場でモードを横断的にとらえる必要がある。このため、地方公共団体が公共交通事業者等の関係者からなる協議会を設立し、協議会において目指すべき都市・地域の将来像と提供すべき交通サービス等を明確にした上で、必要となる交通施策やまちづくり施策、実施プログラム等を内容とする「都市・地域総合交通戦略」を策定(令和4年3月末現在114都市で策定・策定中)し、関係者がそれぞれの責任の下、施策・事業を実行する仕組みを構築することが必要である。国は、同戦略に基づき実施されるLRT注2等の整備等、交通事業とまちづくりが連携した総合的かつ戦略的な交通施策の推進を支援することとしている。

【関連リンク】

自転車活用推進官民連携協議会(再掲)

URL:https://www.jitensha-kyogikai.jp/

(2)公共交通の利用環境改善に向けた取組み

 地域公共交通の利用環境改善や訪日外国人旅行者の受入環境整備を促進するために、LRT、BRT、キャッシュレス決済手段の導入等を支援している。令和3年度においては、秩父鉄道及び四日市あすなろう鉄道でICカードシステムの導入等が行われている。

(3)都市鉄道ネットワークの充実

 既存の都市鉄道ネットワークを有効活用しつつ速達性の向上を図ること等を目的とする都市鉄道等利便増進法を活用し、神奈川東部方面線(相鉄~JR・東急直通線)の整備を進めており、相鉄・JR直通線が先行して開業しているほか、引き続き、令和5年3月開業に向けて相鉄・東急直通線の整備を進めていく。加えて、3年7月に取りまとめられた交通政策審議会答申「東京圏における今後の地下鉄ネットワークのあり方等について」及び同答申を踏まえた国土交通大臣と東京都知事との合意に基づき、首都・東京の地下鉄ネットワークの拡充、利用者サービスの向上等を図るための東京メトロの完全民営化の促進等に向け、関係者とも連携して必要な取組みを推進する。

 また、これまで大都市圏の鉄道において慢性的に続いていた通勤混雑は、新型コロナウイルス感染症の流行における緊急事態宣言下の外出・移動の自粛等により緩和された。今後は、鉄道の利用状況を継続的に把握するとともに、ポストコロナの利用状況を十分に検証の上、必要な施策を検討する。

 これらの取組みの推進により、国際競争力の強化に資する都市鉄道や豊かな国民生活に資する都市鉄道等、我が国の都市鉄道が目指すべき姿の実現に向けた取組みを推進していく。

(4)都市モノレール・新交通システム・LRTの整備

 少子高齢化に対応した交通弱者のモビリティの確保を図るとともに、都市内交通の円滑化、環境負荷の軽減、中心市街地の活性化の観点から公共交通機関への利用転換を促進するため、LRT等の整備を推進している。令和3年度は、各都市において都市モノレール・新交通システムの延伸事業や路面電車のバリアフリー化が進められるなど、公共交通ネットワークの再構築等が進められている。

(5)バスの利便性の向上

 バスについては、バスの位置情報を提供するバスロケーションシステム、円滑な乗降を可能とするICカードシステムの導入促進等を行い、利便性の向上を図っている。

  1. 注2 Light Rail Transitの略で、低床式車両(LRV)の活用や軌道・電停の改良による乗降の容易性、定時性、速達性、快適性などの面で優れた特徴を有する次世代の軌道系交通システム