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国土交通白書 2022

第2節 総合的・一体的な物流施策の推進

■1 物流DXや物流標準化の推進によるサプライチェーン全体の徹底した最適化

 総合物流施策大綱の1つ目の柱として、「①物流DX や物流標準化の推進によるサプライチェーン全体の徹底した最適化(簡素で滑らかな物流)」を掲げている。ここでは、新型コロナウイルス感染症の流行により、非接触・非対面型の物流への転換が喫緊に求められているところ、これまで生産性向上等の観点からその必要性が認識されながらもなかなか進捗してこなかった物流の機械化やデジタル化、そしてそれらの前提となる物流標準化、すなわち、伝票やデータ、外装やパレットなど、物流を構成する各種要素の標準化を、時機を逸せず集中的に推進するべき機会と捉え、その推進を通じて物流分野におけるデジタルトランスフォーメーション(物流DX)の実現を目指していくこととしている。

(1)物流DXとその前提となる物流標準化の推進

 物流DXやこれを通じた物流効率化の推進のためには、伝票・データ・外装サイズ・パレット等、物流を構成するソフト・ハードの各種要素の標準化が極めて重要であるが、現在は個社最適や少数のグループに閉じた部分最適が主流であり、物流全体での標準化の実現には至っていない。国土交通省では、この物流標準化の実現に向け、経済産業省・農林水産省・物流団体と連携のもと、個社や業界、官民の垣根を越えて長期的視点でその課題や推進方策を議論・検討するため、令和3年6月から、「官民物流標準化懇談会」を設置・開催し、同年9月から懇談会の下でパレット分科会を開催して具体的な議論を進めている。

 また、モーダルシフトや輸送網の集約など物流効率化の取組みと併せて、自動化・省人化に資する機器等を導入する取組みの支援を実施するほか、物流事業者における物流DXに関するニーズ、導入事例、効果・課題等を調査・整理し情報発信することにより、物流DXを推進していく。

 さらに、発荷主・輸送事業者・着荷主等が連携計画を策定し、物流システムの標準化・共通化、AIやIoT等の新技術の導入により、サプライチェーン全体の効率化を図る取組みの支援を推進することにより、物流効率化に向けた相乗効果の発揮を目指す。

 倉庫等の物流施設においては、庫内作業や荷待ちの削減等の労働力不足対策のみならず、エネルギー消費の削減にも資する自動化機器・システムの導入を支援する。

 小型無人機(いわゆるドローン等)は、離島や山間部等における物流網の維持等の地域課題の解決手段として期待されていることから、無人航空機の導入等の支援により社会実装を推進している。

 また、自動配送ロボットを活用した新たなサービスの実現に向けた実証実験や研究開発が進んでいる。