
国土交通白書 2022
第5節 危機管理・安全保障対策
(1)重篤な感染症対策
重篤な感染症対策については、関係省庁と緊密に連携し対応している。
①新型インフルエンザ等対策
「新型インフルエンザ等対策特別措置法」(特措法)においては、感染拡大を可能な限り抑制し、国民の生命及び健康を保護し、並びに国民生活及び国民経済に及ぼす影響を最小となるようにするため、国土交通省を含む指定行政機関は自ら新型インフルエンザ等対策を的確かつ迅速に実施し、並びに地方公共団体及び指定公共機関が実施する対策を的確かつ迅速に支援することにより、国全体として万全の態勢を整備する責務を有するとされている。
国土交通省では、国土交通省新型インフルエンザ等対策行動計画において、特措法の各種措置の運用等について、(ア)運送事業者である指定(地方)公共機関の役割等、(イ)新型インフルエンザ等緊急事態宣言時の対応等を規定している。
なお、特措法については、新型コロナウイルス感染症もその対象としている。
②新型コロナウイルス感染症対策
令和元年12月に中国武漢市で感染が広がった新型コロナウイルス感染症について、我が国でも2年1月15日に最初の感染者が確認され、政府は2年1月30日に新型コロナウイルス感染症対策本部を設置(以下「政府対策本部」という。)した。政府対策本部の設置を受け、同日国土交通省に「国土交通省新型コロナウイルス感染症対策本部」(以下「省対策本部」という。)を設置、4年3月末まで44回の省対策本部を開催し、国内における感染防止対策、水際対策等に省を挙げて取り組んだ。
(ア)国内における感染防止対策
国土交通省では、新型コロナウイルス感染症の国内発生以降、空港、鉄道駅等におけるマスク着用の徹底、手洗い励行、消毒液の設置、複数人が接する設備・施設の消毒等の衛生対策の徹底、職員同士の距離確保、事業場の換気励行、発熱等の症状が見られる従業員の出勤自粛等の実施及び職員間のテレワーク・時差出勤の実施を事業者に対して要請している。また、令和2年5月には、事業者及び関係団体による自主体な感染予防対策を進めるため、感染拡大予防ガイドラインを策定することとされ、国土交通省所管の分野においても、4年1月末時点で63の団体が51のガイドラインを策定・公表している。国土交通省では、感染予防対策の徹底が図られるよう、関係団体に対し、ガイドラインを個々の事業者にしっかり周知し、感染予防に万全を期すよう要請している。加えて、公共交通機関においては、利用者に対し、
(1)マスクの着用や会話は控えめにすること
(2)車内換気へのご理解・ご協力
(3)テレワーク・時差出勤へのご協力について、鉄道駅や車内等におけるアナウンスや国土交通省と業界団体が共同作成したポスターの掲示
等を通じ、呼びかけを行っている。こうした取組みに加え、緊急事態宣言時及びまん延防止等重点措置実施時には、対象都道府県等における外出・移動の自粛の観点から、空港や鉄道駅、高速道路のSA・PA等における移動自粛の呼びかけ、主要空港へのサーモグラフィーの設置及び高速道路周遊パスの新規申込受付停止等の対策を講じている。
また、新型コロナウイルスのワクチン接種については、ワクチン接種に関する地域の負担を軽減し、接種の加速化を図るため、令和3年6月から職域接種が開始された。国土交通省としても、職域接種の実施にあたり、事業者と政府の間の調整等のサポートを行った。
(イ)水際対策
新型コロナウイルスについては、国外からの変異株ウイルスの流入防止に万全を期すため、政府として、外国人の新規入国拒否や入国者総数の制限等の水際対策に取り組んできた。
令和3年10月以降、ワクチン接種者に対する入国後の行動制限の緩和や外国人の新規入国制限の見直しといった水際対策の一部緩和措置が行われた。
同年11月下旬には、国外において新たな変異株であるオミクロン株が発生したことを受け、当該緩和措置は一時停止されたが、4年3月以降、入国者の待機期間の変更や外国人の新規入国制限の見直し、入国者総数の引上げ等、再び段階的な緩和措置が講じられている。国土交通省としても、内閣官房長官の下に設置されたオミクロン株への対応に関するタスクフォースの一員として、水際対策に取り組んだ。
(2)影響の大きい家畜伝染病対策
影響の大きい家畜伝染病対策については、平成30年9月、岐阜県の養豚場において、我が国では、4年以来26年ぶりとなる豚熱の発生が確認され、その後、令和4年3月31日現在岐阜県と愛知県を始め16県で77例の発生が確認されている。また、令和3年11月、秋田県の養鶏場において、我が国では前年度に引き続き鳥インフルエンザの発生が確認され、その後10県において、4年3月31日現在、国内で17例の鳥インフルエンザの陽性事案の発生が確認されている。
国土交通省では、地方公共団体が実施する防疫措置に必要となる資機材の提供、同地方公共団体が行う防疫措置についての関係事業者に対する協力要請を行うなど、更なる感染拡大の防止のため、関係省庁と緊密に連携して必要な対応を講じている。