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国土交通白書 2022

第4節 健全な水循環の維持又は回復

■1 水の恵みを将来にわたって享受できる社会を目指して

 近年、我が国の水資源を巡っては、危機的な渇水、大規模自然災害、水インフラの老朽化に伴う大規模な事故等、新たなリスクや課題が顕在化している。これらを背景として、需要主導型の「水資源開発の促進」からリスク管理型の「水の安定供給」へ水資源政策の転換を進めている。

 平成29年5月の国土審議会からの答申を受け、我が国の産業と人口の約5割が集中する全国7水系(利根川水系及び荒川水系、豊川水系、木曽川水系、淀川水系、吉野川水系、筑後川水系)の水資源開発基本計画を抜本的に見直すこととしており、令和4年3月末時点において、吉野川水系(平成31年4月19日閣議決定・国土交通大臣決定)、利根川水系及び荒川水系(令和3年5月28日閣議決定・国土交通大臣決定)の2計画の見直しが完了している。また、淀川水系については、令和4年2月に国土審議会より計画の見直し案について答申され、筑後川水系については、令和4年3月より計画の見直しに着手したところである。

 リスク管理型の新たな計画では、危機的な渇水時も含めて水需給バランスを総合的に点検し、既存施設の徹底活用によるハード対策と必要なソフト対策を一体的に推進することで、安全で安心できる水を安定して利用できる仕組みをつくり、水の恵みを将来にわたって享受できる社会を目指している。