
国土交通白書 2022
第9章 戦略的国際展開と国際貢献の強化
第1節 インフラシステム海外展開の促進
■1 政府全体の方向性
新興国を中心とした世界の膨大なインフラ需要を積極的に取り込むことにより、我が国の経済成長につなげていくため、政府は平成25年3月に国土交通大臣を含む関係閣僚を構成員とする「経協インフラ戦略会議」を設置し、政府一体となってのインフラ海外展開に取り組んできた。
この結果、我が国企業のインフラシステム受注額は、平成22年の約10兆円から令和元年には約27兆円へと増加しており、そのうち国土交通関係分野については、交通分野で約0.5兆円から約2.1兆円、基盤整備分野で約1.0兆円から約3.0兆円と、22 年と比較して大きな伸びを見せており、着実に成果を上げてきている。
その一方で、中国、韓国、新興国の企業の台頭等による競争環境は激化しているほか、新型コロナウイルス感染拡大への対応を機に、世界全体でデジタル化が加速しているなかで、これに伴うインフラニーズの変容も想定される。加えて気候変動対策など「持続可能な開発目標(SDGs)」達成や、国際社会の安定と繁栄の基盤として我が国が提唱している「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の実現が国際的な関心事となる中、インフラシステム海外展開においても、これらへの貢献に向けた取組の一層の促進が期待されている。
このような状況を踏まえ、令和2年12月に、令和7年までのインフラシステム海外展開の方向性を示した「インフラシステム海外展開戦略 2025」を策定し、令和7年に34兆円のインフラシステムを受注する目標を掲げ、政府全体で「質の高いインフラシステム」の海外展開に取り組んでいる。