
国土交通白書 2022
第2節 技術研究開発の推進
国土交通省では、「第4期国土交通省技術基本計画」(平成29年3月策定)のもと効果的・効率的な産学官連携を図りながら技術研究開発を推進するとともに、公共事業及び建設・交通産業等への開発成果の社会実装に努めてきた。今般、「科学技術・イノベーション基本計画」(令和3年3月26日閣議決定)等の政府全体の方針に基づき、社会資本整備審議会・交通政策審議会技術分科会技術部会の下に設置した「国土交通技術行政の基本政策懇談会」等での議論を踏まえ、新たな国土交通省技術基本計画(計画期間:令和4年度~8年度)の策定に向けた討議を技術部会で実施した。
(1)施設等機関、特別の機関、外局、国立研究開発法人等における取組み
施設等機関、特別の機関、外局や国土交通省所管の国立研究開発法人等における主な取組みは図表のとおりである。国立研究開発法人においては、我が国における科学技術の水準の向上を通じた国民経済の健全な発展その他の公益に資するため研究開発の最大限の成果を確保することを目的とし、社会・行政ニーズに対応した研究を重点的・効率的に行っている。また、国土強靭化を中心としたインフラに係る革新的技術を公共事業等で活用するために、政府出資による研究委託制度を活用しながら各国立研究開発法人において設定した研究開発課題に関する産・学研究開発を支援している。


(2)地方整備局における取組み
技術事務所及び港湾空港技術調査事務所においては、管内の関係事務所等と連携し、建設工事用材料及び水質等の試験・調査、施設の効果的・効率的な整備のための水理実験・設計、施設の維持管理に関する調査・検討等、地域の課題に対応した技術開発や新技術の活用・普及等を実施している。
(3)建設・交通運輸分野における技術研究開発の推進
建設技術に関する重要な研究課題のうち、特に緊急性が高く、対象分野の広い課題を取り上げ、行政部局が計画推進の主体となり、産学官の連携により、総合的・組織的に研究を実施する「総合技術開発プロジェクト」において、令和3年度は、「建築物と地盤に係る構造規定の合理化による都市の再生と強靱化に資する技術開発」等、計4課題について、研究開発に取り組んだ。
また、交通運輸分野においても、安全環境、人材確保難等の交通運輸分野が抱える政策課題解決に資する技術研究開発を、産学官の連携により推進しており、3年度は、「緊急支援物資輸送のデジタル化推進事業」に取り組んだ。
(4)民間企業の技術研究開発の支援
民間企業等の研究開発投資を促進するため、試験研究費に対する税額控除制度を設けている。
(5)公募型研究開発の推進
建設分野の技術革新を推進していくため、国土交通省の所掌する建設技術の高度化及び国際競争力の強化、国土交通省が実施する研究開発の一層の推進等に資する技術研究開発に関する提案を公募する「建設技術研究開発助成制度」では、政策課題解決型技術開発公募(2~3年後の実用化を目標)の公募を行い、令和3年度は新規12課題、継続5課題を採択した。
また、交通運輸分野については、安全安心で快適な交通社会の実現や環境負荷軽減等に資するイノベーティブな技術を発掘から社会実装まで支援する「交通運輸技術開発推進制度」において、新規1課題、継続6課題を実施した。また、令和3年度第1次補正を活用し、短期間で成果が見込まれる研究に対する支援枠を追加し、本制度の充実化を図った。さらに、同制度の成果の普及・促進等を図るため、「交通運輸技術フォーラム」を4年3月に開催した。