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国土交通白書 2022

3 気象災害リスクへの適応策

コラム 都市化の進展とヒートアイランド現象

 地球温暖化に加え、都市化に伴い、ヒートアイランド現象注20による気温上昇も生じている。ヒートアイランド現象とは、都市化の進む東京、大阪、名古屋などの大都市圏において、アスファルトやコンクリート等に覆われた地域の拡大や、植生域の縮小、人間活動による熱の影響から、都心部の気温が郊外部と比較して高くなる現象をいう。大都市圏では、都市化の影響の比較的小さいとみられる地点に比べ、長期的な気温上昇幅が大きく、都市化の影響によるヒートアイランド現象がうかがえる。例えば、1927年から2021年の約100年において、都市化の影響の比較的小さい地点では気温が100年あたり約1.6度上昇している一方、東京では約3.3度上昇している。

 熱中症リスクの極めて高い気象条件が予測された場合には、予防行動を促すために、気象庁と環境省が連携して「熱中症警戒アラート」注21を発表している。今後、気温上昇、猛暑日、熱帯夜の増加が見込まれる中、特に、都市化によるヒートアイランド現象が顕著な都心部において、芝生化や緑化等により、涼しく快適な空間の創出等を図ることが必要である。

大都市の年平均気温の長期的な変化
大都市の年平均気温の長期的な変化

(注)
1 年平均気温偏差は、1927年~1956年平均値からの差を表す。
2 都市化の影響が比較的小さいとみられる15地点とは、全国の地上気象観測地点の中から、観測データの均質性が長期間確保でき、かつ都市化等による環境の変化が比較的小さい地点から、地域的に偏りなく分布するように選出(網走、根室、寿都、山形、石巻、伏木、飯田、銚子、境、浜田、彦根、宮崎、多度津、名瀬、石垣島)。
3 東京、大阪、名古屋と都市化の影響が比較的小さいとみられる15地点との年平均気温偏差の経年変化を表す。
資料)気象庁

  1. 注20 ヒートアイランド対策については、第Ⅱ部第8章第6節4参照。
  2. 注21 熱中症警戒アラートとは、暑さ指数の予測値、予想最高気温と併せて、外出を控える、エアコンやクーラーを使用し涼しく過ごすなど積極的な熱中症予防行動を取ることを促すもの。