
国土交通白書 2023
第2節 観光立国の実現に向けた取組み
(1) 観光関係の規制・制度の適切な運用及び民泊サービスへの対応
平成30年1月に施行された「通訳案内士法及び旅行業法の一部を改正する法律」に基づき導入された地域通訳案内士制度について、市町村及び都道府県とも連携して育成を推進し、令和5年4月1日時点で40地域にて導入し、3,622名が登録されている。また、旅行サービス手配業の登録制度について、登録行政庁である都道府県等とも連携して制度周知を図り、同年4月1日時点で1,800社の登録がなされている。
また、「住宅宿泊事業法」に基づき、健全な民泊を推進している。住宅宿泊事業の届出住宅数は、令和5年3月13日時点で18,760件となった。健全な民泊サービスの更なる普及に向けて、営業日数を効率的に集約するシステムの活用等により、違法民泊対策の実効性を向上させた。
(2) ポストコロナ時代を支える観光人材の育成・強化
観光庁では、これまでの観光庁の人材育成施策に関する効果検証等を行うとともに、実務人材の確保・育成に向けて、多様な人材が働きやすい環境の整備や新たな働き方の提案、地域や事業経営の改善に向けたスキルの向上に関する取組みを推進した。あわせて、これからの時代に求められる新たな観光人材の育成に向けて、令和4年度に産学連携協議会を開催し、「ポストコロナ時代における観光人材育成ガイドライン」を策定した。今後は、同ガイドラインで明示した知識・技能を効果的に修得できる教育プログラムを地域・大学等が連携し作成・実践する取組みを支援し、その広域展開を図ることとしている。
(3) 観光地域づくり法人(DMO)を核とする観光地域づくりの推進
観光地域のマネジメント及びマーケティングを担う観光地域づくり法人(DMO)注1を核とする観光地域づくりを推進するため、令和4年10月28日時点で320団体(登録DMOが255団体、候補DMOが65団体。)を登録するとともに、観光地域づくり法人に対する各種情報提供や観光地域づくり法人の体制強化、観光地域づくり法人が行う着地整備の取組みに対する支援を行った。また、「住んでよし、訪れてよし」の観光地域づくりを実現するため、地域主体で住民理解を深めつつ、オーバーツーリズムを引き起こすことなく、観光で得られた収益を地域内で循環させることにより、地域の社会経済の活性化や文化・環境の保全・再生を図っていく。
(4) 観光遺産産業化ファンド等の継続的な展開
観光庁では、観光庁と包括的連携協定を締結している(株)地域経済活性化支援機構(REVIC)が、地域金融機関等と連携して組成した観光遺産産業化ファンド等も活用し、関係事業者や関係省庁、自治体と連携して、地域の観光資源の磨き上げ等を図るための取組みを行った。
(5)コロナ禍の訪日プロモーション
令和4年10月の水際措置の更なる緩和を踏まえ、インバウンドの本格的な回復に向けて、日本政府観光局を通じ、ウェブサイトやSNS等により我が国の観光再開や全国各地の魅力を世界へ広く発信するとともに、航空会社や旅行会社との共同広告、商談会や旅行博への出展等を実施し、国・地域ごとの特性を踏まえたきめ細かな訪日プロモーションに取り組んだ。
また、自然・アクティビティやサステナブルな観光コンテンツのニーズが高まっていることなど、ポストコロナの旅行者のニーズ変化を踏まえたプロモーションにも取り組み、海外の消費者の訪日意欲の向上につなげた。
さらに、地方部への誘客を促進するため、日本政府観光局において、地方自治体・DMO等を対象とした研修会やコンサルティングのほか、全国各地の観光コンテンツ収集やウェブサイト等による地域の情報発信等を実施した。
(6)MICE誘致の促進
MICEの安全な再開と発展に向けて、官民のMICE関係者による「安全なMICEの再開と発展に向けた関係者協議会」にて議論した結果を公表し、MICE再開に向けた今後の取組みの方向性を示し、関係者の取組みを促した。また、MICEの誘致・開催に意欲的な地方都市に対する誘致競争力強化を支援するとともに、ハイブリッド形式のMICEの開催に関する実証事業を実施した。さらに、ポストコロナにおけるMICEの総消費額及び経済波及効果の算出の方向性の検討や会議施設等の整備支援に取り組んだ。
(7)ビザの戦略的緩和
令和4年10月の水際措置の更なる緩和を踏まえ、インバウンド需要の回復に向けて、今後のビザ緩和の実施について関係省庁と連携して検討を行った。
(8)訪日教育旅行の活性化
日本政府観光局が運営する訪日教育旅行のウェブサイトを通じ情報発信を行った。
- 注1 DMO:Destination Management/Marketing Organization