
国土交通白書 2023
第2節 地域活性化を支える施策の推進
(1)地域の生活交通の確保・維持・改善
地域社会の活性化を図るため、日常生活等に必要不可欠な交通手段の確保は重要な課題である。
このため、地域公共交通確保維持改善事業において、多様な関係者の連携により、地方バス路線、離島航路・航空路などの生活交通の確保・維持を図るとともに、地域鉄道の安全性向上に資する設備の整備、バリアフリー化等、快適で安全な公共交通の構築に向けた取組みを支援している。また、地方自治体における交通施策の立案に当たって参考となるよう、デジタル技術の活用事例等、地域交通体系を支えるために必要な調査を行い、今後の地域交通のあり方を検討した。
【関連リンク】
地域公共交通確保維持改善事業
URL:https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/transport/sosei_transport_tk_000041.html
(2)地域鉄道の活性化、安全確保等への支援
中小民鉄や第三セクターが運営する地域鉄道は、通勤や通学の足として沿線住民の暮らしを支えるとともに、観光等地域間の交流を支える基幹的な公共交通として、重要な役割を果たしているが、その経営は極めて厳しい状況にある。このため、鉄道施設総合安全対策事業費補助や地域公共交通確保維持改善事業等及び税制特例により、安全設備の整備等に対して支援している。
(3)地域バス路線への補助
地域の需要規模や人口特性に応じた最適な生活交通ネットワークの確保・維持が可能となるよう、地域をまたがる地域間幹線バスや地域内のバス交通・デマンド交通等への補助や、バス車両の更新への支援を行うとともに、バス事業者によるデジタル化等の経営効率化・経営力強化を図る取組みや、観光と連携した取組み等に対して支援を行い、利便性・持続可能性・生産性が向上する形で地域交通の再構築を促進する。
(4)地方航空路線の維持・活性化
人口減少に伴う利用者の減少が見込まれるなか、地域航空の路線を持続可能なものとするため、「持続可能な地域航空のあり方に関する研究会」及び「地域航空の担い手のあり方に係る実務者協議会」において検討を行い、平成30年12月に報告書を公表した。
(5)離島との交通への支援
離島航路は、離島住民が日常生活を行う上で必要不可欠な交通手段である。令和3年度は290航路で輸送人員需要は28.5百万人(ここ5年で約34%減少)となっているが、その多くは本土より深刻な人口減少、高齢化により、航路の運営は極めて厳しい状況である。このため、唯一かつ赤字が見込まれる航路に対し、地域公共交通確保維持改善事業により運営費への補助、離島住民向け運賃割引への補助、運航効率の良い船舶建造への補助を行っている(令和5年3月末現在の補助対象航路:127航路)。
離島航空路については、地域の医療の確保をはじめ、離島の生活を支えるのに欠かせない交通手段であることから、安定的な輸送の確保を図るため、離島に就航する航空運送事業者に対して、総合的な支援(予算:機体購入費補助、運航費補助等 公租公課:着陸料の軽減、航空機燃料税の軽減措置等)を講じている。なお、令和4年度の離島航空路線の数は65路線、うち国庫補助対象は15路線となっている。