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国土交通白書 2023

第1節 交通ネットワークの整備

■2 幹線鉄道ネットワークの整備

(1)新幹線鉄道の整備

 新幹線は、我が国の基幹的な高速輸送体系であり、地域間の移動時間を大幅に短縮させ、地域社会の振興や経済活性化に大きな効果をもたらす。また、新幹線は安全(昭和39年の東海道新幹線の開業以来、鉄道事業者の過失による乗客の死亡事故はゼロ)かつ環境にもやさしい(鉄道のCO2排出原単位(g-CO2/人キロ)は航空機の1/5、自家用車の1/6)という優れた特性を持っている。「全国新幹線鉄道整備法」に基づき、昭和48年に整備計画が定められた、いわゆる整備新幹線については、平成9年10月の北陸新幹線(高崎・長野間)の開業を皮切りに、東北新幹線、九州新幹線、北陸新幹線、北海道新幹線と順次開業してきており、令和4年9月には九州新幹線(武雄温泉・長崎間)が開業した。

 北海道新幹線(新函館北斗・札幌間)については、北海道新幹線(新函館北斗・札幌間)の整備に関する有識者会議において、令和4年12月に、事業費が6,445億円増加するとの試算を含めた取りまとめがなされたところであり、引き続き、必要な財源を確保し、着実に整備を進める。青函共用走行区間のうち、青函トンネル内では、2年より、貨物列車の本数が少ない特定時期において、新幹線列車と貨物列車の走行時間帯を区分し、新幹線の210km/h高速走行を実施している。引き続き、安全の確保に万全を期しつつ、新幹線の高速化と鉄道貨物輸送との両立について、検討を進める。北陸新幹線(金沢・敦賀間)については、工期・事業費ともに見直し後の計画の範囲内で順調に進捗しており、引き続き着実に整備を進める。

 未着工区間である北陸新幹線(敦賀・新大阪間)については、従来、工事実施計画の認可後に行っていた調査も含め、施工上の課題を解決するための調査を、先行的・集中的に実施していく。

 また、九州新幹線(西九州ルート)については、九州地域、西日本地域の未来にとってどのような整備のあり方が望ましいか議論を積み重ねることが重要と考えており、今後も関係者との協議を引き続き進める。

 「全国新幹線鉄道整備法」では、四国新幹線、四国横断新幹線等の計11路線が、いわゆる基本計画路線に位置づけられている。平成29年度よりこれら基本計画路線を含む「幹線鉄道ネットワーク等のあり方に関する調査」を行っており、具体的には、新幹線整備が社会・経済に与える効果の検証や、効果的・効率的な新幹線の整備・運行手法の研究等に取り組んでいる。

 中央新幹線は、東京・名古屋間を約40分、東京・大阪間を約1時間で結び、全線が開業することで三大都市が1時間圏内となり、人口7千万人を超える巨大な都市圏が形成されることとなる。

 これにより、我が国の国土構造が大きく変革され、国際競争力の向上が図られるとともに、その成長力が全国に波及し、日本経済全体を発展させるものである。全線開業の時期については、平成28年に「独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構法」の改正を行い、財政投融資(3兆円)を活用することにより、当初令和27年であった大阪までの全線開業を最大8年間前倒すことを可能としたところである。現在、国土交通大臣が認可した「中央新幹線品川・名古屋駅間工事実施計画(その1)及び(その2)」に従い、JR東海において、品川・名古屋間の早期開業に向け、工事を進めているところである。

【関連リンク】

全国の新幹線鉄道網の現状

URL:https://www.mlit.go.jp/tetudo/content/001627873.pdf

(2)技術開発の促進

①超電導磁気浮上式鉄道(超電導リニア)

 超電導リニアの技術開発については、超電導磁気浮上方式鉄道技術開発基本計画に基づき、既に確立している実用技術のより一層の保守の効率化、高温超電導磁石の運用安定性の確保を目指した技術開発を推進する。

②軌間可変電車(フリーゲージトレイン)

 フリーゲージトレインについては、軌間の異なる在来線間での直通運転を想定し、技術開発を行う。