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国土交通白書 2023

第3節 豊かで美しい自然環境を保全・再生する国土づくり

■2 豊かで美しい河川環境の形成

(1)良好な河川環境の保全・形成

①多自然川づくり、生態系ネットワークの形成

 河川整備に当たっては、「多自然川づくり基本指針(平成18年10月策定)」に基づき、河川全体の自然の営みを視野に入れ、地域の暮らしや歴史・文化との調和にも配慮し、河川が本来有している生物の生息・生育・繁殖環境及び多様な河川景観の保全・創出する「多自然川づくり」をすべての川づくりにおいて推進している。

 また、自然再生事業等による湿地等の再生、魚道整備等による魚類の遡上・降下環境の改善等を図るとともに、多様な主体と連携した生態系ネットワークの形成による流域の生態系の保全・創出を推進している。

②河川における外来種対策

 生物多様性に対する脅威の1つである外来種は、全国の河川において生息域を拡大している。この対策として、「地域と連携した外来植物防除対策ハンドブック(案)」等の周知を行うとともに、各地で外来種対策を実施している。

(2)河川水量の回復のための取組み

 良好な河川環境を保全するには、豊かな河川水量の確保が必要である。このため、河川整備基本方針等において動植物の生息・生育環境、景観、水質等を踏まえた必要流量を定め、この確保に努めているほか、水力発電所のダム等の下流の減水区間における清流回復の取組みを進めている。また、ダム下流の河川環境を保全するため、洪水調節に支障を及ぼさない範囲で洪水調節容量の一部に流水を貯留し、活用放流するダムの弾力的管理及び弾力的管理試験を行っているほか、河川の形状等に変化を生じさせる中規模フラッシュ放流の取組みを進めている。さらに、平常時の自然流量が減少した都市内河川では、下水処理場の処理水の送水等により、河川流量の回復に取り組んでいる。

(3) 流域の源頭部から海岸までの総合的な土砂管理の取組みの推進

 土砂の流れの変化による河川環境の変化や海域への土砂供給の減少、沿岸漂砂の流れの変化等による海岸侵食等が進行している水系について、流域の源頭部から海岸まで一貫した総合的な土砂管理の取組みを関係機関が連携して推進している。具体的には、砂防、ダム、河川、海岸における土砂の流れに関する問題に対応するため、適正な土砂管理に向けた総合土砂管理計画の策定や、土砂を適切に下流へ流すことのできる透過型砂防堰堤の設置並びに既設砂防堰堤の改良、ダムにおける土砂バイパス等による土砂の適切な流下、河川の砂利採取の適正化、サンドバイパス、養浜等による砂浜の回復などの取組みを関係機関と連携し進めている。

(4)河川における環境教育

 川は身近に存在する自然空間であり、環境学習や自然体験活動等の様々な活動が行われている。子どもたちが安全に川で学び、遊ぶためには、危険が内在しているなど、正しい知識が不可欠であることから、教育関係者や一般利用者向けの学習支援素材の作成や、市民団体が中心となって設立された特定非営利活動法人「川に学ぶ体験活動協議会(RAC)」等と連携した川の指導者の育成等を推進している。

【関連リンク】

総合的な土砂管理と流砂系

URL:https://www.mlit.go.jp/river/sabo/sougoudoshakanri/sougoudosyatowa.pdf

【関連リンク】

子どもの水辺再発見プロジェクト・水辺の楽校プロジェクト

URL:https://www.mlit.go.jp/river/kankyo/play/kawanimanabu.html

【関連リンク】

河川水難事故防止ポータルサイト

URL:https://www.mlit.go.jp/river/kankyo/play/anzenriyou.html

【関連リンク】

河川水質の現況

URL:https://www.mlit.go.jp/river/toukei_chousa/kankyo/kankyou/suisitu/index.html