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国土交通白書 2023

第2節 デジタル技術の活用によるイノベーションの推進

■1 ITSの推進

 ITSは、高度な道路利用、ドライバーや歩行者の安全性、輸送効率及び快適性の飛躍的向上の実現とともに、交通事故や渋滞、環境問題、エネルギー問題等の様々な社会問題の解決を図り、自動車産業、情報通信産業等の関連分野における新たな市場形成の創出につながっている。

 また、令和4年6月に閣議決定された「デジタル社会の実現に向けた重点計画」に基づき、交通安全対策・渋滞対策・災害対策等に有効となる道路交通情報の収集・配信に係る取組み等を積極的に推進している。

①社会に浸透したITSとその効果

(ア)ETCの普及促進と効果

 ETCは、今や日本全国の高速道路及び多くの有料道路で利用可能であり、車載器の新規セットアップ累計台数は令和5年3月時点で約8,228万台、全国の高速道路での利用率は令和5年3月時点で約94.3%となっている。従来高速道路の渋滞原因の約3割を占めていた料金所渋滞はほぼ解消され、CO2排出削減等、環境負荷の軽減にも寄与している。さらに、ETC専用ICであるスマートICの導入や、ETC車両を対象とした料金割引等、ETCを活用した施策が実施されるとともに、有料道路以外においても駐車場やドライブスルーでの決済等への応用利用も可能となるなど、ETCを活用したサービスは広がりと多様化を見せている。

【関連リンク】

ETC総合情報ポータルサイト

URL:https://www.go-etc.jp/

【関連リンク】

ETC2.0

URL:https://www.mlit.go.jp/road/ITS/j-html/etc2/

(イ)道路交通情報提供の充実と効果

 走行経路案内の高度化を目指した道路交通情報通信システム(VICS)対応の車載器は、令和5年3月時点で約7,859万台が出荷されている。VICSにより旅行時間や渋滞状況、交通規制等の道路交通情報がリアルタイムに提供されることで、ドライバーの利便性が向上し、走行燃費の改善がCO2排出削減等の環境負荷の軽減に寄与している。

②新たなITSサービスの技術開発・普及

(ア)ETC2.0の普及と次世代のITS推進

 平成27年8月より本格的に車載器の販売が開始されたETC2.0は、令和5年3月時点で約928万台がセットアップされている。

 ETC2.0では、全国の高速道路上に設置された約1,800箇所のETC2.0路側機を活用し、渋滞回避支援や安全運転支援等の情報提供の高度化を図り、交通の円滑化と安全に向けた取組みを進めている。また、収集した速度や利用経路、急ブレーキのデータなど、多種多様できめ細かいビッグデータを活用して、ピンポイント渋滞対策や交通事故対策、生産性の高い賢い物流管理など、道路ネットワークの機能を最大限に発揮する取組みを推進している。

 更なる取組みとして、自動運転時代を見据え、道路利用者の安全・利便性を飛躍的に向上させるため、車両内外のデータをセキュアに連携させる基盤を構築し、次世代のITSを推進する。

(イ)先進安全自動車(ASV)プロジェクトの推進

 産学官の連携により、先進技術を搭載した自動車の開発と普及を促進する「先進安全自動車(ASV)推進プロジェクト」では、第7期ASV推進計画を立ち上げ、事故実態の分析を通じて、車両間の通信により、遮蔽物のある交差点での出会い頭の事故等を防止する安全技術、歩行者等の交通弱者と通信を行い、交通弱者が被害者となる事故を防止する安全技術等がより安全に寄与する事故形態の検討を行った。