国土交通省ロゴ

国土交通白書 2023

第2節 デジタル技術の活用によるイノベーションの推進

■2 自動運転の実現

 国土交通省では、交通事故の削減や高齢者の移動支援等に資する自動運転の実現に向けて、「環境整備」、「技術の開発・普及促進」及び「実証実験・社会実装」の3つの観点から取組みを進めている。

 「環境整備」については、令和4年6月に国連WP29において合意された高速道路での車線維持機能を有する自動運行装置の要件の改正を保安基準に取り入れるとともに、同年4月に道路交通法の一部を改正する法律が成立し、レベル4に相当する運転者がいない状態での自動運転を可能とする制度が創設されたことを踏まえ、運転者が不在となる場合を想定した保安基準の整備を行った。また、旅客/貨物自動車運送事業者が、従来と同等の輸送の安全等を確保しつつ、レベル4の自動運転車を用いて事業を行うことを可能とするために必要となる法令の整備を実施した。さらに、自動運転に対応した区画線の要件案や、車載センサでは検知困難な前方の道路情報を車両に提供するための仕様案の作成に向け、官民連携の共同研究を進めている。

 「技術の開発・普及促進」については、衝突被害軽減ブレーキ等の安全運転支援機能を備えた車「安全運転サポート車(サポカー)」の普及啓発、高速道路の合流部等での情報提供による自動運転の支援、自動運転を視野に入れた除雪車の高度化等に取り組んでいる。

 「実証実験・社会実装」については、国土交通省及び経済産業省において「自動運転レベル4等先進モビリティサービス研究開発・社会実装プロジェクト」を立ち上げ、運転者が存在せず、遠隔監視のみにより運行する自動運転移動サービスの事業モデルの検討や、自動運転移動サービスの横展開にあたって車両開発等の効率化を図るための走行環境やサービス環境の類型化などを行った。また、自動運転による地域公共交通実証事業を実施しその持続可能性について検証したほか、新たに全国8箇所において自動運転サービスの実証実験における技術的支援を行い、和歌山県太地町においては本格導入に移行した。