
国土交通白書 2023
第2節 デジタル技術の活用によるイノベーションの推進
■6 水管理・国土保全分野におけるDXの推進
水管理・国土保全分野においては、防災・減災対策や河川等の整備・管理において、デジタル技術の積極的な活用による変革を進めている。
例えば、本川・支川が一体となった洪水予測による予測の高度化やAIを用いたダム運用の高度化に向けた技術開発・実装を進めているほか、小型で安価なセンサによる浸水範囲のリアルタイム把握に向けた実証に取り組んでいる。また土砂災害等に対し、夜間・悪天候時でも利用可能な人工衛星等を用いた迅速かつ安全な情報収集を行い、的確な警戒避難につなげているほか、高速通信技術を用いた無人化施工による安全性等の向上に取り組んでいる。下水道分野では、局地的な大雨等に対して、センサ、レーダー等に基づく管路内水位、雨量、浸水等の観測情報の活用により、既存施設の能力を最大限活用した効率的な運用、地域住民の自助・共助の促進を支援する取組みを進めている。
また、これまで目視等で行っていた河川・砂防・海岸のインフラ施設等の維持管理について、ドローン等により取得した画像や三次元点群データを活用した点検により、点検レベルを維持・向上しつつ省力化を図るための技術開発を進めている。
さらに、デジタル技術を活用したイノベーション推進のため、実績の河川情報等、技術開発に資するデータのオープンな提供に取り組んでいるほか、官民連携によるオープンイノベーションにより、洪水予測や治水対策効果の「見える化」等の技術開発を促進するため、仮想空間に流域を再現した実証実験基盤の整備を進めることとしている。