
国土交通白書 2023
第5節 建設機械・機械設備に関する技術開発等
(1)建設機械の開発及び整備
国が管理する河川や道路の適切な維持管理、災害復旧の迅速な対応を図るため、維持管理用機械及び災害対策用機械の全国的な整備及び老朽化機械の更新を実施している。また、治水事業及び道路整備事業の施工効率化、省力化、安全性向上等を図るため、建設機械と施工に関する調査、技術開発に取り組んでいる。
(2) 機械設備の維持管理の合理化と信頼性向上
災害から国民の生命・財産を守る水門設備・揚排水ポンプ設備、道路排水設備等は、その多くが高度経済成長以降に整備されており、今後、建設から40年以上経過する施設の割合は加速度的に増加する見込みである。これらの機械設備は、確実に機能を発揮することが求められているため、設備の信頼性を確保しつつ効率的・効果的な維持管理の実現に向け、状態監視型の保全手法の適用を積極的に推進している。
また、河川機械設備については、令和4年7月にとりまとめられた社会資本整備審議会答申「河川機械設備のあり方について」においてシステム全体の信頼性の確保、担い手不足等に対応した遠隔化・自動化・集中管理への移行、技術力の維持向上の観点から提言された内容を踏まえ、量産品のエンジンを採用したマスプロダクツ型排水ポンプの開発等を推進することで、総合信頼性の向上を目指している。
(3)建設施工における技術開発成果の活用
大規模水害、土砂災害、法面崩落等の二次災害の危険性が高い災害現場において、安全で迅速な復旧工事を行うため、遠隔操作が可能で、かつ、分解して空輸できる油圧ショベルを開発し、災害復旧活動に活用している。
(4) 建設施工への自動化・自律化技術の導入に向けた取組み
建設機械施工の自動化・自律化・遠隔化技術は、建設機械を人が搭乗することなく稼働させるものである。本技術は、1人のオペレーターが複数の建設機械を稼働させることや、遠隔地から建設機械を稼働させることを可能にするものであるため、建設現場の抜本的な生産性向上や働き方改革に資する技術として期待されている。
本技術の普及を産官学一体となって推進していくことを目的として、関係する省庁、業界団体、研究機関が参画する「建設機械施工の自動化・自律化協議会」を令和3年度に設置した。本協議会では、自動・自律・遠隔施工の技術開発の促進に資する協調領域や機能要件の策定、現場導入の促進に資する安全の制度や施工管理基準の整備に向けた検討を実施している。