
国土交通白書 2024
第1節 本格化する少子高齢化・人口減少における課題
コラム注11 3Dプリンタ技術による住宅建築の省人化・省力化(セレンディクス(株))
建設業は、就業者の高齢化が進行し、将来の担い手不足が喫緊の課題になっており、若手の人材の確保だけでなく、省人化・省力化に取り組んでいく必要がある。このような背景もあり、建設業界では、施工現場でのロボットによる作業や、ICT活用による作業効率化等、様々な技術の導入を進めてきた。
セレンディクス(株)においては、住宅建設に3Dプリンタを活用し、低コストかつ短時間施工を実現している。同社は、3Dプリンタを導入することにより、施工現場の省人化を進め、工程の短縮、施工人員の削減に取り組んでいる。
2022年3月、同社は愛知県小牧市において、日本初の3Dプリンタ住宅「serendix10」を23時間12分で施工することに成功し、世界26か国59媒体で報道され、注目を集めた。翌年7月には同市で2人世帯向け3Dプリンタ住宅「serendix50」を竣工し、こちらは施工時間44時間30分で完成させた。
同社は、「工期24時間」等をコンセプトとした家の開発も進めるなど、「誰もが自動車を買える価格で家を購入できる社会の実現」を目指し、今後も建設業界の担い手不足解消、住宅建築の省人化に向けて3Dプリンタの普及を推進していくとしている。
ロボット技術が今後も進化する中で、住宅建築分野における省人化の動きが、建設産業全体に浸透していき、こうした3Dプリンタの導入による施工の効率化が主流になっていくかもしれない。
<3Dプリンタ住宅「serendix50」>

<3Dプリンタ住宅の内装イメージ(©CLOUDS AO)>

資料)セレンディクス(株)
- 注11 本白書掲載のコラムは、2023年度に国土交通省が実施した調査・取材によるものである。