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国土交通白書 2024

第1節 本格化する少子高齢化・人口減少における課題

コラム 子育てしやすい環境づくりの推進(流山市・松戸市)

 流山市は、千葉県の北西部に位置し、人口が約21万人、普通世帯のうち26.4%が子育て世帯で構成されている。同市は、つくばエクスプレスの開業による沿線の開発に伴い、主に首都圏在住の共働き子育て世帯を対象に、同市への移住を促進し、その結果、子育て世帯の人口は増加したものの、一方で、保育施設の整備が課題となっていたことから様々な取組みを行ってきた。

 同市は、家族等からのサポートがない子育て世帯を対象に、家事・育児を支援するヘルパーを無料で派遣する制度や、保育士への支援制度(家賃補助、手当等)を実施している。また、同市は、既存の保育所を有効活用し、「送迎保育ステーション」の整備にも取り組んでおり、子どもの送迎に係る保護者負担の大幅な軽減を図ってきた。

 その結果、同市は、子育てしやすく、都心への利便性も高い街として魅力度が高まり、2017年から6年連続で、全国の市の中での人口増加率1位を記録している。また、2020年には合計特殊出生率1.55を記録しており、全国平均(1.33)や千葉県平均(1.27)を大きく上回っている。

 今後も、同市は、子育て世帯の支援等に引き続き取り組むこととしている。

 流山市に隣接する松戸市においても、子育て支援の取組みが行われている。同市は人口約50万人、普通世帯のうち18.5%(2020年度)が子育て世帯で構成されている。同市では、送迎保育ステーション(10か所)や、育児支援・家事支援を行う育児支援等サービス事業以外にも、小規模保育施設の子どもを対象とした幼稚園入園への推薦制度を実施している。

 同制度は、待機児童が発生しやすい0~2歳児については、駅周辺に多数存在する、小規模保育施設の利用を促した上で、施設を利用してもらいながら、子どもが3歳になった時に、希望すれば幼稚園へ推薦し入園しやすくするものである。

 また、市内主要駅に存在する送迎保育ステーションが、幼稚園降園後の預かりも実施することで、保育園と同程度の受入れ時間を実現し、保護者の勤務時間の確保を可能にしている。

 これにより、同市は、2016年度から9年連続で、待機児童ゼロを達成している。今後は、妊産婦支援の充実のほか、ヤングケアラー支援の充実、保育所・放課後児童クラブ等の子育て支援施設での医療的ケア児の受入れ強化を図るなど、支援が必要な子育て世帯や子どもたちへ、きめ細やかな対応を行うこととしている。

<多くの人で賑わうまちなか(流山市)>
<多くの人で賑わうまちなか(流山市)>
<コワーキングスペース付き送迎保育ステーション(松戸市)>
<コワーキングスペース付き送迎保育ステーション(松戸市)>

資料)流山市・松戸市