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国土交通白書 2024

第1節 本格化する少子高齢化・人口減少における課題

コラム 砧公園 ~だれもが利用できる遊び場~(東京都)

 東京都は、誰もが互いの違いを理解しながら交わり、支え合う社会の実現に向けた取組みを行っている。東京都建設局では、これまでに、障がいの有無や年齢、性別、言語等に関わらず、「どこでも、誰でも、自由に、使いやすく」というユニバーサルデザインの考え方に基づき、都立公園の整備を進めてきたが、公園利用者の多様なニーズに応え、更に快適に利用できる公園環境を目指し、新たな広場の整備の検討を進めてきた。

 そうした中、同局は2020年3月に全国で初めて、だれもが利用できる遊び場(インクルーシブな遊び場)である「みんなのひろば」を世田谷区の(きぬた)公園内にオープンさせた。インクルーシブな遊び場とは、障がいの有無や大人・子ども(又は性別や国籍、貧富の差等)も問わず、すべての人が利用できる場所を意味し、全国で導入が進められている。

 この「みんなのひろば」では、身体の違いや世代、国籍、文化等の違いを考慮し、音や手触り等の感覚も活かして遊べるように工夫されている。ブランコや複合遊具、伝達管、シェルター遊具、迷路等、様々な遊具が整備され、車いす利用者や視覚障がいのある子どもも楽しめるように配慮されているほか、園路へのアプローチも車いすでの移動や介助が容易にできるように設計されており、安全性と遊びやすさを両立させる施設となっている。また、ひろば中央には高さや形の違う様々な種類のベンチが配置され、車いす利用者や身体の力が弱い人でも利用しやすいように手すりが設置されている。

 こうした取組みにより、開園から4年が経過している現在でも、多くの人が来園しており、休日やイベントが開催された日には、最大2,000名程度が来園する。なお、2022年に実施された砧公園の満足度に関するアンケートでは、公園を利用した人のほぼ全員が満足又はやや満足といった回答であり、施設の利用のしやすさや安全性、静けさや開放感等に高い評価が得られている。

 今後も、同局は、砧公園での整備事例を足掛かりに、誰もが過ごしやすい公園環境の整備に取り組んでいくとしている。

<「みんなの広場」に設置されている遊具>
車いす利用者も遊ぶことができる遊具

車いす利用者も遊ぶことができる遊具

背もたれやベルトの付いたブランコ

背もたれやベルトの付いたブランコ

資料)東京都