
国土交通白書 2024
第1節 本格化する少子高齢化・人口減少における課題
コラム まちなかの再生による賑わいの創出(熊本市ほか)
熊本市は、2015年度を境に人口減少局面に入っており、高齢化率も27.0%(2022年時点)と、高齢者の割合は増加している。同市は、自動車利用の増加や、市街地拡大に伴う大型商業施設の郊外への進出により、中心市街地の居住人口や歩行者交通量の減少、商業機能の低下が生じ、地域経済と活力の衰退が懸念されていた。これらの課題に対して、同市は、交通結節点の機能強化と都市機能の強化を図るため、「熊本市中心市街地活性化基本計画」に基づき、中心市街地の賑わい創出や回遊性の向上を推進してきた。
こうした中、熊本桜町再開発(株)が設立され、市街地再開発事業により、2019年9月に九州産交ランドマーク(株)が運営する日本最大級のバスターミナルと大型商業施設「SAKURA MACHI Kumamoto(サクラマチクマモト)」がオープンした。同施設は、熊本城ホール、ホテル、住宅、オフィス等の都市機能によって構成されている。開業初日には、全国初となる県下全域での公共交通無料化を民間事業者主催で実施し、来館者数は、年間目標(約2,500万人)の100分の1となる約25万人に達したほか、開業から10日間で100万人を突破した。
また、桜町地区に隣接したシンボルロードでは、車中心から人中心の考え方に転換し、市道を廃止した花畑広場の整備が2021年11月に完了し、更なる賑わいが創出されている。
今後、同市は、歩行者空間の拡充や利活用の促進、多様な移動手段の提供により、「ウォーカブル都市」の推進に取り組むこととしている。
<花畑広場>

<SAKURA MACHI Kumamoto(サクラマチクマモト)>

資料)熊本市、九州産交ランドマーク(株)