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国土交通白書 2024

第2節 未来につながる変革と持続可能で豊かな社会を目指して

コラム 子ども目線のまちづくり教育プログラム(スウェーデン・マルメ市)

 スウェーデン南部のマルメ市は、子育てにとって良好な環境づくりを進めており、同市のまちづくりのプロセスでは、大人の視点だけでなく、子どもの視点も重視されている。同市の学内の課外活動では、主に小学3年から5年までの子どもたちを対象に、まちづくりへの参画を促す教育プログラムが実践されている。この教育プログラムは「Min Plats」(マイプレイス)といい、子どもたちが普段訪れる場所、避けている場所について、子どもたちは教師や課外活動の指導員と共に現地調査を行い、発見した問題点や課題、具体的な解決策等を調査結果としてまとめるプログラムである。

 このプログラムの特長としては、子どもたちからマルメ市に対し、問題点や課題が報告されると、同市は調査をした上で、緊急度合いに応じた対応を行い、更に具体的な解決策の提案がなされると、ほかの提案書と同様に、同市の電子サービス上に一般公開されるというものである。もし一定期間内に100人以上からの支持を得られれば、その提案書は所管の各委員会の会議に回付され議題となる。

 このプログラムは、市内の複数の学校で実践されており、Klagshamn(クラグシャムン)校の小学1年の子どもたちは、実際に、このプログラムを通じ、まちづくりのプロセスに参画し、良好な環境づくりに貢献している。同市に対し、「子どもを送迎する保護者の不適切な駐車が、危険な交通状況を生み出す」ことを報告したのに加え、高学年向けの遊び場が不足しているという調査結果に基づき、「高学年向けの新しい遊び場の整備」に関する提案書を同市に提出した。この提案書については、その後、遊び場を管理する同市の技術委員会の会議で取り上げられることとなった。同委員会では、既存の遊び場の更新計画を見直すとともに、数年以内に予定している駅前公園の改修について、地域の子どもたちと対話する機会を設けたいとの意思を表明している。

 同市では、現在、このプログラムを通じた子どもが参画するまちづくりの定着と、このプログラムの利用促進に取り組んでいる。

<調査場所を選定するグループワーク>
<調査場所を選定するグループワーク>

地図を用いて、好きな場所、嫌いな場所、避けている場所について話し合い、調査場所を選定する。

<子どもたちが作成した道路状況の模型>
<子どもたちが作成した道路状況の模型>

危険な交通状況を発信するために作成し、学校や市庁舎に展示された。

資料)City of Malmö