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国土交通白書 2024

第2節 未来につながる変革と持続可能で豊かな社会を目指して

コラム 男性の育児休業の取得を促す「パパ・クオータ」(ノルウェー)

 ノルウェーでは、育児休業に対する考え方が「女性のためのもの」から、ジェンダー平等を図る目的で「男性女性のいずれが取得するかを選択できるもの」へと変化してきたことを背景に、1993年に世界で初めて育児休業の一定期間を男性に割り当てる「パパ・クオータ」を導入している。

 「パパ・クオータ」の導入により、男性による育児休業の取得が促され、制度導入前は4%程度であった男性の育児休業取得率が、2010年~2018年の平均では90%まで上昇している。「パパ・クオータ」の日数は、選択する育児休業期間(49週間又は59週間)によって異なり、子どもが3歳になるまで分割して取得することができる。男性が取得しなければ権利は消滅してしまうものの、2019年12月と2020年3月に生まれた子どもの父親は、平均して「パパ・クオータ」とほぼ同じ日数(15週間又は19週間)の育児休業を取得している。

 また、育児休業給付割合は、国民保険の基礎給付(2022年では約80万円)の6倍を上限として、49週間の場合は休業前収入の100%、59週間の場合は80%が給付されており、同国の家族政策は、仕事と家庭の両立を支援することで、男性と女性の労働市場への参加を促進している。

<男女別育児休業取得可能期間>
<男女別育児休業取得可能期間>

(注)ノルウェー労働福祉局(NAV)へのヒアリング調査(2024年5月)に基づく。