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国土交通白書 2024

第2節 未来につながる変革と持続可能で豊かな社会を目指して

■3 今後の社会課題解決への期待

(担い手不足の解消に向けた取組みの現状)

 担い手不足の解消に向けた民間の取組みに関する調査では、「採用活動の強化(非正規社員含む)」といった労働力の確保に取り組んでいる割合が高い。一方で、「事業のスリム化、ムダの排除、外注の活用」、「女性・高齢者・外国人材など多様な人材の活躍推進」、「デジタル・機械・ロボットの活用」といった省人化・省力化や多様な人材の活躍推進等に取り組んでいる割合は低く、今後、更なる取組みの余地がうかがえる。

図表Ⅰ-1-2-4 人手不足への対応方法
図表Ⅰ-1-2-4 人手不足への対応方法

(注)n=1,961社の複数回答

資料)日本商工会議所・東京商工会議所「中小企業の人手不足、賃金・最低賃金に関する調査」(2024年2月)

(生産年齢人口の減少に対する意識の動向)

 省人化・省力化に向けた取組みが求められる中、国土交通省「国民意識調査」において、産業の担い手不足の解消に必要な技術についてたずねたところ、「ロボット技術」と答えた人が5割を超えており、必要性が高い技術であることがうかがえる。また、「AI(人工知能)」、「遠隔監視や自動制御が可能なシステム」、「自動運転・運航」、「ドローン」と答えた人も一定数おり、これらの技術を用いた担い手不足の解消に資する取組みへの期待がうかがえる。

図表Ⅰ-1-2-5 担い手不足の解消に必要な技術
図表Ⅰ-1-2-5 担い手不足の解消に必要な技術

(注)回答者総数4,320人。回答者は該当する選択肢をすべて回答し、グラフは選択した回答者数の比率を示している。

資料)国土交通省「国民意識調査」

(子ども・子育てに対する意識の動向)

 国土交通省「国民意識調査」において、女性が子どもを産み育てたいと思えるようになるために必要と考えられることについてたずねたところ、全体の8割以上の人が「幼稚園や保育園等の児童施設や学童保育といった子どもの預け先」、「フレックス・短時間勤務等の出産・育児に合った柔軟な働き方」、「夫の家事・育児への協力」、「出産・育児に伴う休暇・休業の取得」について、そう思う(とてもそう思う、ややそう思う)と答えており、子育てしやすい就業環境の整備や女性の育児負担を軽減する取組みが必要であることがうかがえる。

図表Ⅰ-1-2-6 子ども・子育てに対する考え方
図表Ⅰ-1-2-6 子ども・子育てに対する考え方

(注)回答者総数4,320人。グラフは選択した回答者数の比率を示している。

資料)国土交通省「国民意識調査」

 また、子ども・子育てにやさしい社会の実現に向けた対策について男女別にたずねたところ、「多様で柔軟な働き方の保障」が必要であると答えた女性は6割以上、男性は5割以上と、男女共に最も多く、子育てにおいて就業環境の整備を重視していることがうかがえる。また、「多様で柔軟な働き方の保障」、「夫の家事・育児関連時間の増加を促す各種施策」については、男性に比べて女性の方が必要であると答えた人の割合が高く、男女間で意識の差があることがうかがえる。

 共働き・共育てや、子どもや子育て世帯が安心・快適に日常生活を送ることができるような環境整備を進める上で、女性に配慮した就業環境の整備や、男性の子育てを促す施策に対する期待が高いことがうかがえる。

図表Ⅰ-1-2-7 子ども・子育てにやさしい社会の実現に向けて必要と思う対策
図表Ⅰ-1-2-7 子ども・子育てにやさしい社会の実現に向けて必要と思う対策

(注)回答者総数4,320人(性ごとに2,160人の2層)。回答者は該当する選択肢をすべて回答し、グラフは選択した回答者数の比率を示している。

資料)国土交通省「国民意識調査」

(移動に対する意識の動向)

 国土交通省「国民意識調査」において、公共交通を維持できなくなった場合の暮らしや移動に対する考え方についてたずねたところ、「自動運転等による省人化・省力化」と答えた人が最も多く、自動運転等による公共交通の維持が求められていることがうかがえる。

 ほかの項目について年代別・居住エリア別に見ると、「公共交通機関の充実した地域への移住」と答えた10代~30代はどの居住エリアにおいても多く、公共交通の充実は若者の移住に影響することがうかがえる。

 また、「公共交通機関の充実した地域への移住」と答えた70代はどの居住エリアにおいても少ない一方で、ほかの年代と比べて首都圏と地方圏では「収支改善・サービス維持」、地方中枢都市圏と地方圏では「住民同士の送迎による補完」と答えた人が多かった。住み慣れた地域にとどまり、居住エリアによって、利用料金の増額等による公共交通の維持や、住民同士の互助による移動手段の確保を望む傾向にあることがうかがえる。

図表Ⅰ-1-2-8 暮らしや移動に対する考え方
図表Ⅰ-1-2-8 暮らしや移動に対する考え方

(注)回答者総数4,320人(年齢層・地域圏ごとに240人の18層)。回答者は該当する選択肢をすべて回答し、グラフは選択した回答者数を示している。

資料)国土交通省「国民意識調査」

(高齢社会、地域活力の維持に対する意識の動向)

 人口減少や高齢化が進んでいる地方において、重要だと思う取組みについてたずねたところ、全体の8割以上の人が「食料・日用品、医療等の生活サービスの維持」、「インフラの老朽化への対応」、「防災・減災対策」、「地域公共交通ネットワークの再構築」と答えており、生活サービスの維持や、安全・安心な生活を支える基盤の整備等の取組みへの期待が高いことがうかがえる。

図表Ⅰ-1-2-9 高齢社会、地域活力維持に向けた取組みの方向性
図表Ⅰ-1-2-9 高齢社会、地域活力維持に向けた取組みの方向性

(注)回答者総数4,320人。グラフは選択した回答者数の比率を示している。

資料)国土交通省「国民意識調査」

(国土交通分野の施策への期待)

 少子高齢化・人口減少の進展によって直面する課題を解決し、持続可能で豊かな暮らしと社会を実現していく必要がある中、国土交通省「国民意識調査」において、国土交通分野のこれからの施策に期待することをたずねたところ、全体の約4割以上の人が「インフラの老朽化対策」、「防災・減災のためのインフラ整備」と答えており、生活基盤を支えるインフラに関する施策への期待が高いことがうかがえる。また、「空き家対策、所有者不明土地対策」、「自動運転の普及」等に期待する人の割合も高く、地域の持続性を支える施策も求められていることがうかがえる。

図表Ⅰ-1-2-10 国土交通分野に期待する施策
図表Ⅰ-1-2-10 国土交通分野に期待する施策

(注)回答者総数4,320人。回答者は該当する選択肢をすべて回答し、グラフは選択した回答者数の比率を示している。

資料)国土交通省「国民意識調査」