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国土交通白書 2024

第1節 国土交通分野の現状と方向性

コラム 持続可能な水道インフラ(WOTA(株))

 近年、人口減少により水需要が減少する一方で、上下水道インフラの老朽化が進行し、施設の維持、更新が各自治体にとって大きな負担となっている。

 WOTA(株)は、こうした課題を解決するため、水の再生技術と水インフラの分散化を活用した、既存の水道インフラとは異なる水供給システムを開発している。同社は、2023年度から愛媛県の3自治体(西予市、今治市、伊予市)で、各建物単位での全生活排水の再生・循環利用を可能にする小規模分散型水循環システムの実証事業を始めている。

 小規模分散型水循環システムが実現すれば、浄水場から地域に水を供給するために必要な配管等の整備・更新費用が不要となり、給水、排水処理コストを引き下げることが期待される。同社と西予市の試算では、既存給水、排水処理設備の更新・維持費用と量産時の同システムの整備・維持費用を比較した場合、4割のコストカットが期待される結果となった。

 今後も、同社は水問題の課題解決に取り組み、次世代が安心して水を使える、持続可能な社会の実現を目指している。

 また、既存製品であるポータブル水再生システム『WOTA BOX』、水循環型手洗いスタンド『WOSH』は、上下水道等のインフラが遮断される災害時にも有効であり、令和6年能登半島地震では、断水エリア全域に設置され、避難所での個室シャワー、手洗い器として利用された。

 このような技術が普及することで、災害時の避難所における水不足問題を解決し、衛生環境が維持されることが期待されている。

<個室シャワー「WOTA BOX」>
<個室シャワー「WOTA BOX」>

資料)WOTA(株)