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国土交通白書 2024

第3章 地域活性化の推進

第1節 地方創生・地域活性化に向けた取組み

 少子高齢化の進展に的確に対応し、人口の減少に歯止めをかけるとともに、東京圏への人口の過度の集中を是正し、それぞれの地域で住みよい環境を確保して、将来にわたって活力ある日本社会を維持していくため、政府は、平成26年11月に成立した「まち・ひと・しごと創生法」に基づき、地方創生の取組みを推進してきた。

 令和5年においては、仕事・交通・教育・医療をはじめとする地方が抱える課題をデジタル実装を通じて解決し、地域の個性を生かした地方活性化を図る、「デジタル田園都市国家構想」の具体化を進めるため、4年に策定した「デジタル田園都市国家構想総合戦略」の改訂を行った。同構想を通じて、全国どこでも誰もが便利で快適に暮らせる社会を目指し、施策を展開していくこととし、国土交通省においては、主に以下の取組みを行う。

・地域公共交通について、法制度や予算等、あらゆる政策ツールを総動員し、交通DX・GXの活用や、地域の関係者の連携・協働(共創)を通じ、「地域の公共交通リ・デザイン実現会議」における議論も踏まえ、利便性・生産性・持続可能性の高い地域公共交通への「リ・デザイン」を加速化させる。

・多様な暮らし方を支える人間中心のまちづくりを実現し、持続可能な都市を形成するため、コンパクトでゆとりと賑わいのあるまちづくりを進めるとともに、地方都市と大都市の交流・連携や、不動産IDを含む不動産関係ベースレジストリ、建築BIM(個々の建築物情報の3次元データ)、PLATEAU(3D都市モデルの整備・活用・オープンデータ化を推進するプロジェクト)等の「建築・都市のDX」を進め、まちづくりの高度化や官民データ連携による新サービスの創出を促進する。

・観光分野のDXを推進し、観光消費の拡大、観光産業の生産性向上等に一体的に取り組む観光DXのモデルとなる地域の創出に向けて重点的な支援を実施し、稼ぐ地域を創出するとともに、事業者間・地域間のデータ連携の強化により、広域で収益の最大化を図る。

・自動運転、ドローン物流、バース予約システム、求貨求車マッチングや自動倉庫、AIターミナル、サイバーポートといった物流DX、生産性向上に資する道路ネットワークの整備等を推進する。

・基盤的な地理空間情報である電子国土基本図の活用をはじめとする国土の状況把握・見える化等の国土利用・管理DXを推進する。

・「流域治水」の取組みをソフト面から推進するため、例えば、一級水系において、本川・支川が一体となった洪水予測の高度化を図り、早期の災害対応や避難を支援しつつ、浸水範囲と浸水頻度の関係を示した水害リスクマップを新たに整備して、防災まちづくり等での活用を促進する。

・国土形成計画を踏まえ、「共」の視点からの地域経営を実現する観点から、デジタルを徹底活用しながら、暮らしに必要な日常の生活サービスが持続的に提供される「地域生活圏」の形成を推進する。

 都市再生については、民間活力を中心とした都市の国際競争力の強化や地方都市と大都市の連携促進等を図るとともに、「居心地が良く歩きたくなる」まちなかの創出等による都市再生の推進に取り組んでいる。