
国土交通白書 2024
第2節 快適な生活環境の実現
①人優先の安全・安心な歩行空間の形成
安全・安心な社会の実現を図るためには、歩行者の安全を確保し、人優先の安全・安心な歩行空間を形成することが重要である。幹線道路等において安全性を一層高めつつ自動車交通を生活道路から転換するとともに、生活道路において速度抑制や通過交通の進入抑制を図る面的対策等を実施することにより、人優先の安全・安心な歩行空間の形成を推進している。
②安全で快適な自転車利用環境の創出
過去10年間で自転車が関係する事故件数は、減少傾向であるが、自転車対歩行者の事故件数は近年増加傾向にあり、また、「道路交通法」の改正等(令和4年4月27日公布。令和5年4月1日等施行。)により新たなモビリティも自転車通行空間を走行することなどを踏まえ、より一層安全で快適な自転車の利用環境整備が求められている。このため、自転車の交通ルールの効果的な啓発や、警察庁と共同で「安全で快適な自転車利用環境創出ガイドライン」の見直し・周知を図っている。
③多様なニーズに応える道路空間の実現
賑わいのある道路を構築するため、令和2年度に歩行者利便増進道路(ほこみち)制度を創設した。また、社会情勢の変化に伴い多様化する道路へのニーズに対応するため、道路空間の柔軟な利活用等による「人中心の道路空間」の実現に取り組んでいる。
④わかりやすい道案内の推進
地図を用いた案内標識(地図標識)を交通結節点や観光地へ設置するなど、訪日外国人等の公共交通機関の乗換えやまちあるき等の支援を進めている。
⑤柔軟な道路管理制度の構築
自動車交通の一層の円滑化と安全に加え、安全な歩行空間としての機能や地域の賑わい・交流の場としての機能等の道路が有する多様な機能を発揮し、沿道住民等のニーズに即した柔軟な道路管理ができるよう、(ア)指定市以外の市町村による国道又は都道府県道の歩道の新設等の特例、(イ)市町村による歩行安全改築の要請制度、(ウ)NPO等が設置する並木、街灯等に係る道路占用の特例、(エ)道路と沿道施設を一体的に管理するための道路外利便施設の管理の特例、(オ)道路協力団体が設置する施設等に係る道路占用の特例、(カ)道を活用した地域活動における道路占用許可の弾力的な運用等を実施している。