国土交通省ロゴ

国土交通白書 2025

第2節 総合的・一体的な物流施策の推進

■3 強靱性と持続可能性を確保した物流ネットワークの構築

 昨今激甚化・頻発化している自然災害等によるサプライチェーンの途絶等を踏まえ、強靱で持続可能な物流ネットワークの構築に向けて、物流ネットワークの強靱性・持続可能性の確保を喫緊の課題としてとらえて、我が国産業の国際競争力強化等に資する物流ネットワークの構築のほか、脱炭素社会の実現という目標達成に向けた取組を推進することとされている。

(1)物流上重要な道路ネットワークの戦略的な整備・活用

 国内輸送の約9割を担う貨物自動車による輸送における効率的な物流ネットワークの構築は極めて重要であり、三大都市圏環状道路や空港・港湾へのアクセス道路等の整備を進めている。平常時・災害時を問わない安定的な輸送を確保するため、国土交通大臣が物流上重要な道路輸送網を「重要物流道路」として指定し、トラックの大型化に対応した道路構造の強化や災害時の道路の啓開・復旧の迅速化等の機能強化及び重点支援を実施しており、令和4年4月1日からは、調査中、事業中区間を重要物流道路に追加指定している。また、重要物流道路のうち国際海上コンテナ車(40ft背高)の通行に道路構造等の観点から支障のない区間を、特車許可不要区間として追加指定している。

 また、車両運行管理支援サービス等の、ETC2.0を活用した取組を推進しているほか、令和2年5月27日に公布された改正「道路法」により創設された特殊車両通行確認制度を4年4月1日に運用を開始した。また、道路情報の電子化の推進や確認システム利用マニュアルの作成等の確認制度の利用促進を行った。

 さらに、複数のドライバーが長い輸送行程を分担することで日帰り運行を実現する「中継輸送」の拠点として、令和6年4月には、「コネクトパーキング岡山・早島」を新規事業化した。

 トラック輸送の省人化を促進し、生産性向上を図るため、1台で大型トラック2台分の輸送が可能な「ダブル連結トラック」を平成31年1月より本格導入し、令和6年9月には更なる対象路線の拡充を行うなど、引き続き、利用を促進する。また、物流危機への対応や温室効果ガス削減に向けて、新たな物流形態として、自動物流道路の社会実装に向けた検討を行っていく。

 加えて、高速道路と民間施設を直結する民間施設直結スマートIC制度の活用を推進するとともに、引き続き、スマートICの整備を進めるなど、既存の道路ネットワークの有効活用・機能強化を図っていく。

(2)国際海上貨物輸送ネットワークの機能強化

 経済のグローバル化が進展する中、世界的な海上輸送量は年々増加してきており、大量一括輸送による海上輸送の効率化の観点から、コンテナ及びバルク貨物輸送船舶の大型化等が進展している。

 コンテナ貨物については、日本の港湾は、釜山港や上海港といったアジア主要港に比較して相対的に貨物量が少ないこと等により、船舶の大型化が進む、北米・欧州等と日本とを結ぶ国際基幹航路の寄港数が減少傾向にある。さらに、新型コロナウイルス感染症拡大時期には、北米西岸を中心とする港湾混雑等により船舶の運航スケジュールに乱れが生じ、外航コンテナ船社による、運航スケジュールの正常化に向けた更なる寄港地の絞り込みが行われた結果、国際基幹航路の日本への寄港数が減少した。

 また、バルク貨物注4については大型船への対応が遅れており、相対的に不利な事業環境による国内立地産業の競争力低下等が懸念されている。

 このような状況を踏まえ、サプライチェーンの安定化等に向けて、国際基幹航路の維持・拡大に、より一層取り組む必要があるほか、主要な資源・エネルギー等の輸入の効率化・安定化に向けた取組を行っている。

 また、このような取組とともに、引き続き、国際・国内一体となった効率的な海上輸送ネットワークを実現するための取組を推進するとともに、施策の更なる充実・深化を図ることとしている。

①国際コンテナ戦略港湾の機能強化

 国際基幹航路の我が国への寄港を維持・拡大することにより、企業の立地環境を向上させ、我が国経済・産業の国際競争力を強化するため、国際コンテナ戦略港湾である京浜港・阪神港に、国内外から貨物を集約する「集貨」、港湾背後への産業集積による「創貨」、大水深コンテナターミナル等の整備の推進等によるコストや利便性の面での「競争力強化」の3本柱の施策を進めている。その際、国際競争力強化にも資する港湾の脱炭素化や港湾におけるデジタル・トランスフォーメーション等の取組を進めている。

 「集貨」については、既存ストックを最大限に活用しつつ、集貨を促進するため、国際コンテナ戦略港湾において、複数のターミナル間における国際基幹航路と国内外のフィーダー輸送網等との円滑な接続・積み替え等に関する実証事業を通じて課題を検証し、ターミナルの一体利用に向けた機能強化を推進している。

 「創貨」については、多様な物流ニーズに対応するロジスティクス・ハブを形成し、新たな貨物需要を創出するため、流通加工機能を有する物流施設のコンテナターミナル近傍への立地の促進を図った。「競争力強化」については、国際基幹航路に就航する大型船の入港を可能とするため、国際コンテナ戦略港湾において、国際標準の水深、広さを有するコンテナターミナル等の整備を推進した。

 さらに、「競争力強化」の一環として、コンテナターミナルにおける生産性向上や労働環境改善につながる新たな技術開発を推進するとともに、コンテナターミナルゲート前の混雑解消等を目的としたシステムである「CONPAS」の導入やゲートの高度化に対する取組への支援、また、遠隔操作RTGの導入に対する支援を行うなど、「ヒトを支援するAIターミナル」の実現に向けた取組を推進している。

②資源・エネルギー等の安定的かつ効率的な海上輸送ネットワークの形成

 我が国の産業や国民生活に不可欠な資源・エネルギー・食糧の安定的かつ安価な輸入を実現するため、企業間連携による大型船を活用した共同輸送に対応可能となるよう、徳山下松港、水島港、志布志港において岸壁等の整備を進めている。

(3)国際競争力の強化に向けた航空物流機能の高度化

 我が国の国際航空貨物輸送については、今後も伸びが期待されるアジア発着貨物を積極的に取り込むため、首都圏空港の機能強化や関西国際空港の貨物ハブ化の推進、中部国際空港の利活用の促進に向けた取組等を進めている。

(4)農林水産物・食品の輸出拡大に向けた物流の改善

 農林水産物・食品の輸出拡大に向けて、輸配送の共同化や輸送網の集約等による物流の効率化、輸出拠点となる港湾における温度・衛生管理が可能な荷さばき施設の整備への支援等に取り組むとともに、我が国の質の高いコールドチェーン物流サービスの国際標準化を推進している。

(5)我が国物流システムの海外展開の推進

 サプライチェーンのグローバル化が深化する中、我が国の産業の国際競争力を維持・向上させていくためには、質の高い国際物流システムの構築が求められている。しかし、我が国の物流システムのアジア地域への展開に当たっては、相手国の制度上・慣習上等の課題が存在している。

 このため、物流パイロット事業、政府間での政策対話、(株)海外交通・都市開発事業支援機構(JOIN)による物流関連インフラ整備への資金支援、人材育成事業、物流システムの国際標準化の推進等を通じ、官民連携により物流システムの海外展開に向けた環境整備を図っている。

(6)国際物流機能強化に資するそのほかの施策

 大都市圏における国際物流の結節地域である国際港湾等周辺及び物流・産業の拠点である港湾において物流拠点及び物流施設の整備・再整備を推進することにより、大規模災害時における防災機能の向上を図りつつ、都市環境の改善と併せた国際競争力の強化及び効率的な物流網の形成を図る。

 国際物流については、ウクライナ情勢の影響や海外港湾の混雑等の様々なサプライチェーンの途絶リスクを踏まえ、我が国企業にとって代替的な輸送オプションを確保し、強靱なサプライチェーンの構築を図るため、従来の輸送手段・ルートを代替又は補完する輸送手段・ルートについて実態調査や実証輸送を実施している。

  1. 注4 穀物、鉄鉱石、石炭、油類、木材等のように、包装されずにそのまま船積みされる貨物の総称。