国土交通白書 2025
第2節 総合的・一体的な物流施策の推進
生産年齢人口の減少や、トラックドライバーへの時間外労働の上限規制の適用を踏まえ、労働力不足対策と物流構造改革の推進に向けて、トラックドライバーや船員の働き方改革や、労働生産性の改善に向けた革新的な取組の推進等を図っていくこととしている。
(1)物流分野における働き方改革
少子高齢化や人口減少を背景として、物流分野においても、特にトラック業界、内航海運業界を中心として高齢化が進んでおり、大量退職や、生産年齢人口の減少に伴う人材確保が困難になることへの対応が引き続き必要となる。
トラック運送事業については、「標準的運賃」の周知・浸透に引き続き取り組むとともに、同年11月に改組を行ったトラック・物流Gメンによる荷主・元請事業者への監視体制を強化していく。加えて、トラック運送業における多重取引構造の是正に向けて、昨年8月に立ち上げた「トラック運送業における多重下請構造検討会」において、過度な多重取引構造の是正に向けた対応策を検討していく。
休憩施設の駐車マス不足解消や使いやすさの改善に向けた取組として、令和5年12月に高速道路機構及び高速道路会社が取りまとめた整備方針に基づき、休憩施設の駐車マス数の拡充等の対策を推進する。
内航海運業については、令和3年5月に成立した「海事産業の基盤強化のための海上運送法等の一部を改正する法律」に基づく、労務管理責任者等による船員の労務管理の適正化や、オペレーターに対する船員の労働時間を考慮した運航計画の作成義務等を通じて、船員の働き方改革を推進するほか、「海技人材の確保のあり方に関する検討会」の中間とりまとめで示された快適な海上労働環境形成の促進に資する仕組みの導入等の対応策の具体化に取り組んでいく。
(2)高度化・総合化・効率化した物流サービス実現に向けた更なる取組
物流分野における労働力不足、多頻度小口輸送の進展等に対応し、物流事業の省力化及び環境負荷低減を推進するため、関係者が連携した物流の総合化・効率化に関する幅広い取組を支援することを旨とした「物流総合効率化法」に基づき、共同輸配送、モーダルシフト、輸送網の集約等を内容とする合計543件(令和7年3月現在)の総合効率化計画を認定し、運行経費等補助の支援や税制特例措置等を講じた。また、令和5年10月の「物流革新緊急パッケージ」において、鉄道(コンテナ貨物)、内航(フェリー・RORO船等)の輸送量・輸送分担率を今後10年程度で倍増させることを目指すとしたことを踏まえ、大型コンテナ導入等に係る支援を行った。
また、2030年度に不足する輸送力34%の解消をより確かなものとすべく、従来のトラック輸送から鉄道と内航海運へのモーダルシフトに加えて、陸・海・空のあらゆる輸送モードを総動員して、トラックドライバー不足や物流網の障害等に対応するための「新たなモーダルシフトに向けた対応方策」を令和6年11月に取りまとめており、ダブル連結トラック、自動運転トラック、航空貨物輸送等の多様な輸送モードも活用した新たなモーダルシフト(新モーダルシフト)の推進に取り組むこととしている。
加えて、令和3年9月から開催している「官民物流標準化懇談会パレット標準化推進分科会」において、標準的なパレットの規格と運用やその推進方策等についての取りまとめを行った。また、物流データの標準形式を定めた「物流情報標準ガイドライン」の活用促進を図るため、「物流情報標準ガイドライン」を活用した共同輸配送等の取組を支援した。
(3)地域間物流の効率化
複合一貫輸送等の推進に向け、港湾・貨物駅等の物流結節点の整備等を進めている。貨物鉄道輸送については、他の輸送モードとの連携(モーダルミックス)が不可避であり、誰でもいつでも利用できる体制づくり、貨物駅の高度利用、貨物鉄道のスマート化の推進等を促進していくこととしている。また、船舶大型化等に応じた複合一貫輸送ターミナルの整備や次世代高規格ユニットロードターミナルの形成に向けた取組を推進している。
(4)都市・過疎地等の地域内物流の効率化
荷さばきを目的とした路上駐車を抑制し、道路交通の円滑化及び都市内物流の効率化のため、商業施設等の用途の建築物の新築等の際に駐車場法に基づく条例で荷さばき駐車施設の附置を義務づける規定を置くよう地方公共団体に促しており、令和6年3月末現在で、91都市において適用されている。近年の電子商取引の増加等に伴う住宅への宅配便需要の増加や、共同住宅の高層化及びセキュリティの向上等により、配送効率の低下や長時間の路上駐車をせざるを得ない状況となっていることを踏まえて、令和7年3月に標準駐車場条例(駐車場法に基づき、地方公共団体が定めることができる附置義務条例の参考)を改正して、共同住宅への荷さばき駐車施設の附置に係る規定を追加し、地方公共団体に通知するとともに、その旨周知を行った。
トラックドライバー不足が深刻化する中、再配達の削減に向けては、令和5年10月の関係閣僚会議で決定した「物流革新緊急パッケージ」を受け、消費者が再配達削減に取り組むよう促すため、再配達率削減緊急対策事業として物流事業者やEコマース事業者のシステム改修に係る費用を補助するとともに、消費者が物流負荷軽減に資する受取方法等を選択した場合に、ポイントが還元される仕組みを社会実装すべく実証事業を実施した。今後は、消費者の更なる行動変容に向けて、宅配ロッカー等の多様な受取方法等の普及促進のための実証事業として物流事業者やEコマース事業者のシステム改修費の補助等を実施する。
無人航空機(いわゆるドローン等)は、離島や山間部等における物流網の維持や買い物における不便を解消するなど、地域課題の解決手段として期待されている。2023年3月に公表した「ドローンを活用した荷物等配送に関するガイドラインVer.4.0」も活用しながらドローン物流の社会実装を推進した。
