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国土交通白書 2025

第4節 交通分野における安全対策の強化

■2 鉄軌道交通における安全対策

 鉄軌道交通における運転事故件数は、自動列車停止装置(ATS)等の運転保安設備の整備や踏切対策の推進等を行ってきた結果、長期的には減少傾向にあるが、ひとたび列車の衝突や脱線等が発生すると、多数の死傷者を生じるおそれがあることから、引き続き安全対策の推進が必要である。

(1)鉄軌道の安全性の向上

 過去の事故等を踏まえて、必要な基準を制定するなどの対策を実施し、これを鉄軌道事業者が着実に実行するよう指導するとともに、保安監査等を通じた実行状況の確認や、監査結果等のフィードバックによる更なる対策の実施を通じて、鉄軌道の安全性の向上を促している。

 また、鉄軌道事業者に対し、計画的に保安監査を実施するほか、重大な事故、同種トラブル等の発生を契機に臨時に保安監査を実施するなど、メリハリの効いた効果的な保安監査を実施することにより、保安監査の充実を図っている。

(2)踏切対策の推進

 都市部を中心とした「開かずの踏切」注12等は、踏切事故や慢性的な交通渋滞等の原因となり、早急な対策が求められている。このため、道路管理者と鉄道事業者が連携し、「踏切道改良促進法」及び「第11次交通安全基本計画」に基づき、立体交差化、歩道拡幅等の構造改良、横断歩道橋等の歩行者等立体横断施設の整備、特定道路等を優先とした踏切道におけるバリアフリー対策、踏切遮断機等の踏切保安設備の整備等により踏切事故の防止に努めている。

 令和6年度は、「踏切道改良促進法」に基づき、改良すべき踏切道として、新たに117か所を指定した。指定した踏切道をはじめ、課題のある踏切道については、地方踏切道改良協議会等を適宜開催し、道路管理者と鉄道事業者が、地域の実情に応じた踏切対策の一層の推進を図った。

 また、災害時の管理方法の指定制度に基づき、災害時の管理の方法を定めるべき踏切道として16か所を指定した。指定した踏切道については、道路管理者と鉄道事業者が、災害時に長時間遮断が生じないよう、連絡体制や優先開放の手順等の管理方法の策定に向けた協議を行い、取組を推進した。さらに、道路管理者と鉄道事業者が連携して作成・公表している「踏切道安全通行カルテ」を更新し、踏切対策の「見える化」を進めた。

 令和7年度は、引き続き、改良すべき踏切道を国土交通大臣が機動的に指定し、立体交差化や構造改良、踏切周辺道路の整備、第4種踏切道等の統廃合、踏切保安設備の整備、踏切道への車両進入抑制対策等の早期効果発現対策、特定道路等を優先とした踏切道におけるバリアフリー対策等を推進し、特に構造改良においては、列車と車両等の衝突による事故を減らすため、狭小な踏切道や歩道が無い踏切道の拡幅、事故が多発する構造等に課題のある踏切道の対策等を含めた総合的かつ一体的な対策を推進する。また、災害時の管理の方法を定めるべき踏切道として指定した緊急輸送道路上等の踏切道について、管理の方法の策定や定期訓練等の取組を推進するとともに、災害時の踏切優先開放等の措置を確実に実施する取組を促進する。あわせて、改良後の踏切対策の評価により、着実なフォローアップを実施する。加えて、指定された改良すべき踏切道以外についても、第4種踏切道を横断する歩行者の安全対策の観点から、安全対策を簡易かつ効果的に実施できる設備の導入を推進する。

(3)ホームドアの整備促進

 視覚障害者等をはじめとしたすべての駅利用者の安全性向上を図ることを目的に、ホームからの転落等を防止するホームドアの整備を促進しており、「交通政策基本計画」(令和3年5月28日閣議決定)及び「移動等の円滑化の促進に関する基本方針」(2年12月25日)に基づき、令和7年度までに、優先度が高い3,000番線、うち平均利用者数が10万人/日以上の駅で800番線を整備することとしている。5年度末時点において、駅全体で2,647番線、うち平均利用者数が10万人/日以上の駅で559番線が整備された。この整備目標の達成に向け、都市部では鉄道駅バリアフリー料金制度(7年3月末時点で17社より届出)、地方部では予算措置による重点的支援と、それぞれの特性に応じた措置を活用しながら、全国の鉄道駅のバリアフリー化を推進していくこととしている。

図表Ⅱ-6-4-2 ホームドア
図表Ⅱ-6-4-2 ホームドア

(4)鉄道施設の戦略的な維持管理・更新

 鉄道の橋梁やトンネル等の老朽化が進んでおり、これらの鉄道施設を適切に維持管理することが課題となっている。鉄道利用者の安全確保及び鉄道の安全・安定輸送の確保を図るため、地域の人口減少が進み経営環境が厳しさを増す地方の鉄道事業者に対して、鉄道事業の継続性等を確認した上で、将来的な維持管理費用を低減し長寿命化に資する鉄道施設の改良・補強を支援するとともに、広域的・戦略的なインフラメンテナンス実現に向け、鉄道事業者の技術力向上、検査業務体制の再構築を推進している。

  1. 注12 列車の運行本数が多い時間帯において、踏切遮断時間が40分/時以上となる踏切。