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国土交通白書 2025

第1節 地球温暖化対策の推進

■3 再生可能エネルギー等の利活用の推進

(1)海洋再生可能エネルギー利用の推進

 洋上風力発電の導入に関し、港湾区域内において港湾管理者が事業者を選定済みの全国6港のうち、石狩湾新港内において、令和6年1月に、我が国2か所目となる大型商用洋上風力発電の運転が開始された。また、一般海域においても、「海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律」に基づき令和6年9月に「秋田県秋田市沖」、「和歌山県沖(東側)」及び「和歌山県沖(西側・浮体)」の3区域について新たに「準備区域」として整理された。同年12月には、経済産業省及び国土交通省が新たに「青森県沖日本海(南側)」及び「山形県遊佐町沖」の計2区域において事業者を選定し、事業者選定済みの海域は計10海域となり、洋上風力発電の導入が進んでいる。

 さらに洋上風力発電設備の設置及び維持管理に利用される港湾(基地港湾)について、これまで国土交通大臣が5港を指定し、必要な整備を実施している。このうち、令和6年9月に、秋田港に続いて北九州港においても港湾法に基づく賃貸借契約が締結され、洋上風力発電設備の設置工事に活用されている。7年2月には、基地港湾の一時的な利用に関する協議を行うための協議会制度等の創設等を位置づけた、「港湾法の一部を改正する法律案」を閣議決定し、第217回国会に提出した。

 また、今後普及拡大が期待される浮体式洋上風力発電について、令和6年5月には浮体式洋上風力発電の海上施工等に関する課題について、官民が連携し横断的な議論を促進することを目的とした「浮体式洋上風力発電の海上施工等に関する官民フォーラム」を設置し、同年8月には取組方針を取りまとめた。また、7年1月には浮体式洋上風力発電の大量急速施工や合理的な建設コストを実現するための建設システムの確立を目的とした「浮体式洋上風力建設システム技術研究組合(FLOWCON)」を国土交通大臣が認可した。同年3月には排他的経済水域への拡大のための制度的措置として「海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律の一部を改正する法律案」を閣議決定し、第217回国会に提出した。

【関連リンク】

洋上風力発電

URL:https://www.mlit.go.jp/kowan/kowan_mn6_000005.html

(2)未利用水力エネルギーの活用

 気候変動への適応・ネット・ゼロ実現に向けた対応のため、ダムによる治水機能の強化と水力発電の促進を両立する「ハイブリッドダム」の取組を推進している。この取組の一環として、国が管理する治水等多目的ダム等において最新の気象予測技術を活用した洪水後期放流の活用、非出水期水位の弾力的運用等のダム運用の高度化を76ダムで試行的に行うとともに、既設ダムへの発電施設の新増設へ向け3ダムで公募を開始するなど未利用エネルギーの徹底的な活用を図ることとしている。

 また、河川等における取組として、登録制による従属発電の導入、現場窓口によるプロジェクト形成支援、砂防堰堤における小水力発電の導入事例の共有、技術的支援及び発電設備の導入支援等を実施し、小水力発電の導入促進を図っている。

(3)下水道バイオマス等の利用の推進

 国土交通省では、下水汚泥のエネルギー利用、下水熱の利用等を推進している。平成27年5月には、「下水道法」が改正され、民間事業者による下水道暗渠への熱交換器設置が可能になったほか、下水道管理者が下水汚泥をエネルギー又は肥料として再生利用することが努力義務化された。バイオガス利用等による下水汚泥のエネルギー利用、再生可能エネルギー熱である下水熱の利用について、PPP/PFI等により推進している。

(4)太陽光発電等の導入推進

 公的賃貸住宅、官庁施設や、道路、空港、港湾、鉄道・軌道施設、公園、ダム、上下水道等のインフラ空間等を活用した太陽光発電等について、施設等の本来の機能を損なわないよう、また、周辺環境への負荷軽減にも配慮しつつ、可能な限りの導入拡大を推進している。

(5)水素社会実現に向けた国土交通省における水素政策

①燃料電池自動車の普及促進

 商用車に重点を置いた燃料電池自動車の普及を進めるため、関係省庁とも連携し、民間事業者等による燃料電池自動車の導入事業について支援している。

②水素燃料船の開発

 令和3年度より、グリーンイノベーション基金を活用して、水素燃料船のコア技術である水素燃料エンジン等の技術開発を行っており、9年までの実証運航開始を目指している。

③水素燃料電池鉄道車両の導入・普及の推進

 水素燃料電池鉄道車両等の水素を活用した鉄道車両の実用化に当たっては、技術課題の解決及び社会実装に向けた量産化・コスト低減が必要不可欠であり、今後の水素の供給量や更なる技術開発の動向、水素供給拠点等のインフラの整備状況を見極めつつ、制度面での措置を含めた官民一体の取組を進めることが重要である。

 このため、鉄道に関する技術基準に水素燃料電池鉄道車両の満たすべき構造を策定するとともに、国と鉄道事業者等から構成される「水素燃料電池鉄道車両等の導入・普及に関する連絡会」を設置し、水素の利活用に関する検討状況等を共有するなど、必要な情報を収集・整理し、我が国の鉄道における水素燃料電池鉄道車両等の導入・普及の推進を図った。