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国土交通白書 2025

第1節 インフラシステム海外展開の促進

■3 国土交通省のインフラシステム海外展開に係るアプローチ

 国土交通省は、具体的には以下の(1)~(4)を利用して、企業が海外インフラ展開に参入しやすい環境を形成するために、様々な形で支援を行っている。

(1)トップセールスによる案件形成への働きかけ

 政務レベルによるトップセールスは、インフラ案件獲得等に重要な役割を有しており、コロナ禍においてはオンライン会議等による相手国への働きかけを実施してきた。

 一方で、対面での取組によって我が国の「質の高いインフラシステム」に対する理解を醸成する重要性も再認識された。往来を再開する動きが本格化していることを踏まえ、国土交通省として政務レベルのトップセールス等による政府間対話を復活させ、我が国企業の参入・受注に向けた活動を支援している。

(2)官民ファンドによる事業支援

 海外における交通・都市開発分野の事業は、初期投資が大きく資金回収までに長い期間を要することに加えて、政治リスク、需要リスク等の様々なリスクが存在するため、民間だけでは参入が困難なケースもみられる。

 (株)海外交通・都市開発事業支援機構(JOIN)は、このようなリスクを分担し、出資や人材派遣等を通じて事業参画を行う、ハンズオン機能を有する官民ファンドとして平成26年に設立され、これまでに44事業への支援決定を行っている(令和7年3月末時点)。

 なお、JOINの令和5年度決算において、複数の個別事業で損失を計上したことにより、約799億円の当期純損失(同年度末の累積損益は▲955億円)を計上したため、JOINの役割、在り方、経営改善策等について検証・検討を行う有識者委員会を令和6年8月に設置し、同年12月に最終報告が取りまとめられた。最終報告では、投資リスク管理等について徹底的な改革を行うことをもって存続を認めることとされ、同月、最終報告を踏まえた経営改善策・改善計画を国土交通省及びJOINにおいて策定・公表した。改善事項への対応状況については、有識者委員会のフォローアップ会合(令和7年3月)にて報告を行い、本会合において、組織体制に係る措置の一部等のすぐに措置できないものを除いて、JOIN及び国土交通省において着実に必要な措置が実施されていることが確認された。JOINにおいては、引き続き、出資や事業参画をはじめとする各種支援を通じ、各分野における案件形成を後押しする。

(3)官民合同の協議会等による情報提供やビジネスマッチングの機会提供

 我が国のスタートアップ企業、地方・中小企業が高い技術力やノウハウを有していながら、海外進出を具体化するに及んでいないケースも考えられることから、インフラシステム海外展開の担い手の裾野を広げることを目指し、支援を進めてきた。

 中堅・中小建設企業を対象とした海外展開に係る情報提供や技術PR等のプロモーション、ビジネスマッチング等の機会提供といった取組を推進していく。具体的には、JOINが中堅・中小企業や地方企業からの相談を受ける窓口を設置するとともに、官民ファンドに関する地方企業向けの説明会等に参加し、JOINの支援施策を知る機会が限られる地方企業へのアプローチを実施している。

(4)国際標準化の推進と戦略的活用

 海外展開を有利に進める上で、我が国の技術・ノウハウの国際標準化は極めて重要であり、国際機関で決定される国際基準を戦略的に活用し、我が国企業が受注しやすい環境を整備する必要がある。それぞれの分野の実情を踏まえて戦略的な取組を行う必要があるため、①国際標準化機関(ISO、IEC等)における国際標準の獲得、国連機関等での基準化、②国際標準となった後、相手国での採用を働きかけ他国との差別化を確保、③国際標準未取得の場合、日本規格のデファクトスタンダード化、を柱に取組を進めている。