はじめに |
特に交通については、道路交通混雑の激化、交通事故の増大、地球環境への悪影響、公害の発生、さらに通勤・通学混雑の慢性化など、経済発展や生活の向上の中で立ち遅れた課題が山積し、解決が迫られている。他方、国民意識の面では、価値観の多様化が進み、自由で個性的な生き方が求められるようになっているが、交通もこれに対応して、利用者のニーズの変化を取り入れ、高度かつ快適で多様なサービスを提供していかなければならない。また、国民生活でも急速に国際化が進展してきている今日、国際交通も市民の立場に立った展開が要請されている。
21世紀へ向けて、90年代の交通政策は、交通の分野でも真の豊かさが実現されるよう、公共輸送機関の役割に新たなスポットライトをあて、交通体系の再構築をめざしていく必要がある。
第1部では、こうした問題意識のもとに、これからの交通政策をどのように展開していくべきか、平成2年12月から3年6月に相次いで出された運輸政策審議会の答申に即しながら考えていくこととする。