(3)日本国有鉄道清算事業団の発足


 国鉄は、日本国有鉄道清算事業団法に基づき、昭和62年4月1日に日本国有鉄道清算事業団(以下「清算事業団」という。)に移行し、JR各社等に承継されなかった長期債務等及び土地その他の国鉄の資産は、清算事業団に引き継がれた。清算事業団は、承継された長期債務等の償還及び当該債務に係る利子の支払いや、これらの業務を遂行するために必要となる国鉄の土地等の資産の処分を行うとともに、臨時に再就職を必要とする国鉄職員の再就職の促進を図るための業務を行うこととされた。
 このうち、再就職の促進については、分割・民営化時において清算事業団への23,660人の移行者中再就職先未定者は7,630人という状況であったが、その後の清算事業団における再就職対策の実施により、7,628人のうち5,737人が再就職を果たし、また、844人が特別給与金を受領して辞職した。この結果、3年間の再就職対策期間終了に伴う解雇の形での退職者は1,047人となった。
 なお、この1,047人に係るJRの不採用問題については、各地方中央労働委員会を経て中央労働委員会に再審査の申立てがなされた19件のうち、現在(平成8年10月1日現在)までに18件について「命令」が発せられており、このうち15件については、不採用者の一部または全部の者について、不当労働行為を認定する旨の命令となっており、3件については救済申立を棄却する命令となっている。これに対し、労使はそれぞれ命令の取消を求める行政訴訟を提起しており、現在係争中である。