(1) 幅運賃制度の導入


 平成6年11月の閣議了解において、「公共料金のうち市場原理を導入できる分野については、競争環境の整備を図る中で規制緩和を一層推進することとし、(中略)、経営の効率化を促す方策について検討する」とともに、「多様化した利用者ニーズに対応した料金体系の確立を図る」こととされ、さらにこれを受けて、7年3月に閣議決定された規制緩和推進計画においては、運輸産業の運賃・料金の設定方式のあり方等について検討を行うこととされた。
 これらの経緯を踏まえて、運輸省においては、航空会社が創意工夫を活かして多様化・高度化する利用者ニーズに弾力的に応えて、季節、時間帯、路線の特性等を加味した多様な運賃設定を行うことができるような運賃設定方式を検討した結果、幅運賃制度という新しい制度を導入することとした。
 この幅運賃制度とは、標準的な原価を最高額とする一定の幅の中で、航空会社が自主的に運賃を設定できるというものである。この新制度においては、@航空会社の経営判断に基づく自主的な運賃設定が可能となり、A競争的条件の下で標準原価を導入しているためヤードスティック効果(標準原価が一定の目安(ヤードスティック)となり、航空各社による経営合理化が促進されるという効果)が働き、また、B航空運賃に対する公平感の確保という国民の要請にも応えることができる。
 また、運賃の上限となる標準原価については、その算出方式を公表するなど、運賃制度の透明性確保にも配慮している。
 新運賃制度の導入については、8年2月に日本エアシステムに対し、その他の会社に対しては8年3月に認可し、5月以降各社とも新運賃に移行した。8年2月〜3月に各航空会社による運賃値下げ競争があった後、8年6月にも再度の運賃値下げが行われるなど、幅運賃制度導入による効果が現れ始めている。