4 新しい時代に向かって〜物流システム高度化への取組み〜


(1) 物流における輸送分担の適正化〜モーダルシフトの推進〜

 我が国の国内貨物輸送は、機動性に優れたトラック輸送を中心とする体系となっているが、CO2による地球温暖化問題、道路交通混雑といった点から、輸送効率の点で優れた鉄道・海運の輸送分担率を高める必要があり、このため、長距離幹線輸送においては、荷主・物流事業者等の理解と協力を得つつ、海運・鉄道へのモーダルシフトを推進するため、各種施策を講じている〔1−2−9図1−2−10表〕。

(2) 複合一貫輸送の推進

 定時性・迅速性の確保等多様化するユーザーのニーズに応えるためには、トラック・鉄道・海運等多様な輸送モード間の円滑な連携を図り、輸送モードの特性に応じて適切な役割分担がなされる交通体系を構築する必要がある。
 このため、港湾、貨物駅へのアクセス道路整備といったハード面の施策のほか、ソフト面の施策として、貨物を荷主から荷受人まで一つのパレットに積載して輸送する一貫パレチゼーションを推進していく必要がある。
 一貫パレチゼーションについてはこれまでも、T11型パレットの普及促進を中心とした施策が講じられてきたが、今後は一貫パレチゼーションのさらなる進展を図るため、関係省庁との連携のもと、物流事業者、荷主企業、卸業者等が一体となったパレットの効率的な利用方策を確立するなど、より強力に施策を推進していくこととしている。
 また、円滑な国際物流がアジア・太平洋地域の経済発展に不可欠であるとの認識から、APEC(アジア太平洋経済協力)等において国際複合一貫輸送の円滑化のための検討が行われているが、我が国としても物流機器の国際標準化の推進等の問題に対し、積極的に貢献していくこととしている。さらに、二国間では、韓国との間で、パレット標準化を含む国際物流に関する協議や意見交換などにも取組んでいくこととしている。

(3) 地域間物流の効率化〜幹線共同運行の推進〜

 地域間における物流の効率化への取組みの一例として、6年11月から開始された幹線共同運行がある。
 幹線共同運行とは、土曜・日曜等の閑散期において、特別積合せ事業者同士が幹線区間の輸送を共同で行うもので、9年7月末現在で、21区間において、のべ49事業者が参加して行われている。
 幹線共同運行による効果については、運行便数が削減され、積載率も飛躍的に向上するなど輸送の効率化に極めて有効であることが実証されている〔1−2−11表〕。そのほか、NOx(窒素酸化物)等の削減等環境問題の改善に寄与するとともに、ドライバーが土曜・日曜に休日をとる機会が増大するといった効果も期待されている。
 運輸省としては、これらの成果を踏まえ、今後とも、共同運行実施区間の拡大と事業者の参加を促すことにより、幹線共同運行を推進し、地域間物流の効率化を進めることとしている。

(4) 効率的な都市内物流の構築

 都市内物流においては、荷主ニーズの際限なき多様化・高度化を受け、機動性に優れたトラック輸送への依存度がますます高まっている一方で、トラックから排出されるNOxによる大気汚染やCO2による地球温暖化、騒音等の環境問題、荷捌き時の路上駐停車等による交通混雑等が大きな問題となっている。
 自家用トラックは、複数荷主による積合せができず片荷輸送が多いことから、営業用トラックと比べ輸送効率が低くなる場合が多く〔1−2−12表〕、このため、自家用トラックから営業用トラックへの利用転換を推進する必要がある。
 また、トラック一台当たりの積載効率を高めるためには、共同集配の推進が効果的であり、福岡天神地区や新宿副都心等各地で取組みが進められている〔1−2−13表〕。

(5) 高度情報通信社会の到来と物流分野での取組み

 (ア) 円滑な情報交換システムの構築〜物流EDIの推進〜

 (イ) 新時代のトラック輸送システム

 (ウ) 港湾物流における情報化の取組み


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