(ア) 事故の概要
(イ) 今後の流出油防除対策
(a) 事故再発防止策として、旗国(船舶がその国籍を有している国)の船舶検査や寄港国の外国船舶の監督(PSC)の国際的な強化については、既に国際海事機関(IMO)の海上安全委員会(MSC)に対し提案を行い、検討が進められている。また、タンカー構造規制適用に係る油の分類の見直しについて、IMOの海洋環境保護委員会(MEPC)に対し提案を行い、その実現に努めることとしている。
(b) 流出油防除のための国家緊急時計画等の見直し等の即応体制の強化、船舶搭載型大型油回収装置の整備、油回収機能を有する大型兼用船の整備等の防除体制の強化、外洋・荒天下・高粘度油対応の防除資機材等の技術開発等を基本とする流出油防除対策の整備については、中間報告の内容を踏まえて検討を行っているところである。
(c) 国際協力体制の推進の一環として、北西太平洋地域海行動計画(NOWPAP)の具体化については、7月23日から25日の3日間、富山市において「海洋汚染に係る準備及び対応に関するNOWPAP第1回フォーラム会議」を主催し、今後の関係諸国との協力体制の構築に向けて積極的に取組んでいるところである。
(ア) 事故の概要
7月2日、パナマ船籍原油タンカー「ダイヤモンドグレース号」は、原油257,000トンを積載し、川崎に向けて航行中、東京湾内の浅瀬(中ノ瀬)に底触して船底を損傷し、約1,550klの原油を流出した。
海上保安庁、運輸省等の政府機関、地方公共団体、海上災害防止センター、在日米軍等の関係機関の油回収船やその他の船舶が油回収に当たり、また、のべ約2万メートルのオイルフェンスが展張され、二昼夜に及ぶ油回収作業の結果、海岸への漂着を最小限に抑えて、流出油を概ね回収した。
(イ) 今後の対策
運輸省では、7月8日に関係局長等からなる「東京湾等輻輳海域における大型タンカー輸送の安全対策に関する検討委員会」を設置し、1.船舶の構造要件、2.航行安全対策、3.航行環境の整備、4.水先の安全対策、5.防災資機材の配置、活用体制等の見直しについて検討することとした。
8月6日にまとめられた第一次報告書では、二重構造タンカーへの代替促進策の検討等の当面の施策と中長期的施策として検討すべき項目が整理されており、本年末の最終報告に向けて更に検討を進めることとした。
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