2 混雑緩和をめざす取り組み


(1) 都市鉄道の整備

 都市鉄道においては、通勤・通学時間帯の輸送力の増強を図る観点から、今後とも、地下鉄等の新線建設、複々線化、長編成化及び運行本数の増加等の施策を推進することとしている。
 例えば、京王電鉄では、9年において、必要となる駅ホームの延伸工事等を行ったうえで、通勤・通学時間帯において、京王線では、10両編成化を行うとともに、井の頭線では、大型車両(20m)の導入及び増発を行った。また、東武伊勢崎線の竹の塚〜越谷間の複々線工事の9年3月の完成により、大幅な列車増発が可能となり、混雑緩和をはじめ所要時間の短縮等が図られた。

(2) 鉄道駅の施設改善による混雑緩和

 鉄道駅における混雑に対応するため、駅施設の改善工事が行われており、それによる混雑緩和や乗り換えの利便性の向上が期待される。
 例えば、東武伊勢崎線・営団日比谷線が乗り入れる北千住駅の混雑緩和を図るための抜本的な改良工事が9年3月に完成した。同工事では、従来の1階に東武伊勢崎線ホーム、3階に日比谷線ホーム(2面4線)を設け、ホームの立体構造化及び連絡通路の増設等を行うことにより、エスカレーター29基、エレベーター4基、身障者用トイレ等の設置を行った。これにより、鉄道駅における混雑緩和、移動制約者の垂直移動の容易化が図られた。

(3) オフピーク通勤運動

 大都市圏における通勤・通学混雑の緩和を図る方策としては、都市鉄道の整備のほか、ピーク時に集中する輸送需要をその前後に分散させることも必要である。このため、関係省庁、労働組合、経営者団体、交通事業者、学識者等により構成する「快適通勤推進協議会」において、企業等における時差通勤やフレックスタイム制の導入など、オフピーク通勤の推進を図るためのキャンペーン活動等を実施している。
 企業における時差通勤、フレックスタイム制の導入状況は、首都圏におけるアンケート結果によると、9年度において時差通勤又はフレックスタイム制のいずれかを導入しオフピーク通勤に努めている事業所は2割近くとなっている。

(4) 鉄道事業者による快適通勤をめざすその他の取り組み

 快適通勤・通学の取り組みとしては、前記のほか座席指定列車等の増加や車両冷房化の推進が挙げられる。
 座席指定列車については、JRや私鉄各社により、朝・夜の通勤時間帯に運行されており、割増料金にもかかわらず、その平均乗車率は90%を超え、利用客の支持を得ている。
 例えば、JR東日本では、現在東京・新宿・上野駅から東海道、中央、常磐、総武各線の住宅地を結ぶ「ホームライナー」等を運行しており、総計で午前6時〜8時台の上りが14本、午後6時〜11時台の下りが24本設定されている。
 また、大手民鉄においても1−3−20表のとおり、座席指定列車を運行している。
 車両の冷房化については、JR、大手民鉄でみると、8年度において97.5%という高い水準を達成している〔1−3−21図〕。


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