2 外国人がひとり歩きしやすい街をめざす取り組み


(1) 現状における問題点

 国際観光振興会の6年の調査によると、「訪日外国人客が日本旅行中に遭遇した困難や問題」についてのアンケート結果として、「何も問題はなかった」という回答が約半数あり、我が国国内における外国人への情報提供の状況は、一定の水準にあることがうかがえるが、一方、「言葉が通じなくて困った」が17.4%、「英語標識が少なくて困った」が7.7%あり、特に個人旅行客の困難遭遇度が高くなっている。これは、個人旅行者がツアー客と比較してひとり歩きする機会が多いためと考えられるが、今後とも、外国人が不自由なく安心して旅行できるような環境づくりを進める必要がある。〔1−3−24表

(2) 案内表示板等の整備

 国内の観光地、公共施設、公共交通機関の駅・ターミナル等においては、外国人へのわかりやすい情報提供の観点から、観光情報の表示板へのローマ字表記、英文併記、ピクトグラム(図形表示)の表示等が進められている。
 JR6社では、全駅の駅名票へのローマ字併記を行い、また、案内表示については、ローマ字及び英文併記を順次導入している。駅構内における列車の出発案内、乗り換え案内、一部の車両(新幹線、成田エキスプレス等)における行き先や停車駅の表示についても、LED等により、英文併記による案内を実施している。さらに、駅における行き先情報のアナウンスに当たっては英語による案内も実施している。
 帝都高速度交通営団では、案内表(案内票、誘導票、路線図、周辺図等)の英文併記を実施し、また、ピクトグラムを案内板に表示している。都営地下鉄では、三田線、新宿線及び12号線の新造車両において、車内で行き先等をアナウンスするに当たり英語による案内を実施している。
 さらに、九州地区においては、アジアからの訪日客を意識しており、西日本鉄道の西鉄福岡駅のターミナルビルや、北九州市の小倉駅のターミナルビル等では、案内表示板に英文併記の他、中国語、韓国語の表示も行っている。(写真

(3) 観光案内所の整備

(4) 外国人向けガイドの育成

 我が国を訪れる外国人の快適かつ安心な旅行を支えるためには、外国人への観光案内を適切に行い得る人材の育成・確保が不可欠である。
 通訳案内業法による通訳案内業者は、10年4月現在7,244人が登録されているが、地域によっては十分に確保されているとはいえない状況にある。ウェルカムプラン21においては、外国人に対し、日本の地方の良さをPRし、地方への外客誘致を図ることが提言されているが、このためには国内各地にこうした通訳案内業者が確保されていることが望ましい〔1−3−26表〕。
 運輸省としては、外客誘致法に基づき、地域事情に応じて必要となる通訳案内業者数を確保するため、地域限定通訳案内業制度を導入したところであるが、10年4月に九州地域限定の中国語に係る通訳案内業の免許交付が行われた。

(5) 外国人向け割引運賃の導入

 ウェルカムプラン21の訪日外国人に対する旅行費用の低廉化対策の一環として、国内の主要な航空会社及び鉄道会社において1−3−27表のような外国人向けの割引制度が導入されている。

(6) ウェルカムカードの導入

 ウェルカムカードとは、各地域の博物館、宿泊施設、物販店、飲食店、レジャー施設、交通機関等の加盟施設において、外国人旅行者が同カードを提示することによって料金の割引等の特典を受けられるシステムであり、青森県、香川県、長浜市周辺地域及び成田市周辺地域において導入されている(P.149の写真参照)。


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