世界各国は、自動車の安全確保、公害防止のため、それぞれの国の道路交通環境に応じ自動車基準・認証制度を設けており、船舶や民間航空機のような世界共通の基準は現在のところ存在しない。しかしながら、自動車の国際流通の進展に伴い国際的な基準の調和が強く求められており、運輸省は、その一層の推進を図るため、基準の調和、統一化活動が行われている国連欧州経済委員会車両構造作業部会(UN/ECE/WP29)に継続的に出席し、技術的なデータを提供するなど国際調和活動に貢献してきたところである。
さらに、自動車の装置について認定の相互承認制度を導入するため、国連の相互承認協定である「車両等の型式認定相互承認協定(略称)」に加入する作業を行ってきたが、10年5月に協定加入について国会の承認を得るとともに、所要の国内法改正案が成立した。その後、諸規定の整備等の事務手続きを進め、10年11月に同協定へ加入するとともに相互承認を開始したところである。同協定に加入し相互承認を実施することにより、認証手続きの簡素化・効率化及び自動車ユーザーの負担軽減を図ることが可能となる。
日本の同協定への加入はECEメンバー国以外で初めての加入であり、運輸省としては、同協定をヨーロッパの国々の協定から世界的な協定へと実質的に発展させるとともに、世界的な基準調和と認証の相互承認制度の確立に積極的に貢献することとしている。
なお、自動車基準の世界的な調和を図るための枠組みとして車両構造作業部会(WP29)で検討されていた「車両等の世界的技術規則協定(仮称)」案については、10年6月に同部会において作成され、日本として今後の対応を検討しているところである。
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