OECDは先進国を中心とする加盟国(29ヶ国)間で、経済問題を討議する国際機関である。運輸関連分野では、観光委員会、海運委員会、造船部会があり、それぞれの分野において重要な活動を行っている。
(1) 海運委員会
海運委員会においては、海運における競争政策に関し、国によって異なる法制を持っていることから生じる諸問題についての解決策の検討や貿易歪曲効果を持つ各国の海運助成措置を削減するための方策、さらには安全・環境問題等を中心として議論が行われているほか、旧ソ連・東欧諸国、アジア、中南米諸国など非加盟国との政策対話も積極的に行われており、その一環として9年11月には中国とのワークショップが開催された。
(2) 造船部会
単一市場を分け合う世界の造船業の健全な発展に向けて、造船部会では、主に政府助成措置の廃止と加害的廉売行為の防止を主な内容とする新たな協定(いわゆる造船協定)の締結関係事務や、適正な造船需給バランスに関する共通認識の醸成のための活動を行っている。また、近年造船業が活発化している造船部会非加盟国に対しても、需給バランスに関する問題意識を喚起するための様々な活動を行っている。
特に、造船協定については、6年12月に造船部会において交渉が妥結した後、7年12月に韓国、ノルウェー及びECが、8年6月に我が国が協定を締結したが、残る米国の締結が遅れているため、未だ協定は発効していない。この協定が発効すれば国際造船市場における健全な競争条件が確立され、市場の秩序維持が期待されることから、我が国は米国に対し早期に協定を締結するよう繰り返し要請している。今後も、造船協定の実施に伴う締約国間の意見調整を巡り、造船部会において活発な議論が展開されることとなる。
(3) 観光委員会
観光委員会では、国際観光の自由化、観光部門における中小企業対策、各国の政府観光局のあり方等、加盟国に共通する政策課題についての討議及び観光産業の経済効果の測定とその国際比較を可能とする観光統計の手法の検討を行っている。
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